日常・青春・恋愛

●【書評】『青くて痛くて脆い』(住野よる)_巻き戻せない痛みを抱えて人は強くなる

2018年10月15日

『青くて痛くて脆い』(住野よる/KADOKAWA)の読書感想文です。読み終わった後に、これから前を向いて歩いて行こうと思える、素晴らしい作品でした。あらすじと感想・考察(ややネタバレ)を書きます。

『青くて痛くて脆い』のあらすじ

大学新入生の田端楓(たばたかえで)は、同級生の秋好寿乃(あきよしひさの)と出会います。人との調和を大切にする楓は、理想主義者であっけらかんとしている秋好を苦手としつつも、次第に心を許していきます。二人は『モアイ』という団体を作ります。活動理念は「なりたい自分になる」こと。しかし『モアイ』で二人が過ごす時間は長くは続かずーー。

『青くて痛くて脆い』の感想と考察(ややネタバレ)

『青くて痛くて脆い』の感想と考察を書きます。ネタバレが嫌だよって人はコチラまで、進んでください。

楓と秋好の突然のお別れにびっくり

「この世界に暴力はいらないと思います」

住野よるさんのうまいところは、登場人物の会話における絶妙なテンポ
この作品でも、楓と秋好の会話はくすっと笑えて、どこか甘酸っぱく、平和な日常を彩っていました。

このテンポがずっと続くんだろうな、と思うが矢先に訪れる楓と秋好の突然のお別れ

正直、これにはマジかと思いました。
ゆるふわな世界観がずっと作品で続いていくと考えていたから。

しかし、この展開は作品の深みを出すために、非常によく考えられているシナリオでした。

姿を変えたモアイに怒りをぶつける

モアイは設立当初、理想主義者の秋好により、
高尚(?)な理念を掲げていたわけですが、
次第に形骸化していき、就活生ご用達の団体になります。

個人的に、僕も学生時代に自己啓発系の学生団体に所属していたので、掲げる理想と現実の姿が乖離する様子は痛いほど伝わりました。例えば、みんな学生時代に平和を唱えてアフリカとかにボランティアとかに行くのに、
結局就職するのは、大手総合商社や外資系企業なんですよ。「あ、やっぱり就活のためだったのかな?」みたいな。

楓の純粋な秋好の理想とかけ離れて行くモアイへの怒りに近い感情はとてもよく理解できます。
ただ友人を誘ってモアイをやっつけようとする方法が、少し間違ってましたね。

これは読み進めながらもたびたび疑問を持ちましたが、作品の本当のテーマを提示するための伏線になっていました。

絶対的な正しさは存在しない

この作品が伝えたかったことは、絶対的な「正しさ」は存在しないということではないでしょうか。つまり、ある角度から見るとこれは丸なんだけど、角度を変えると三角に見えるよね、みたいなことです。

このテーマが中心にあって、それに気づかず過ちを犯してしまう若者の未熟と、成長の姿が前後で描かれている感じです。ただ、単純にそれを伝えるだけだと少し説教くさい話になりそうなんですが、そこは流石、作中にいろいろな工夫が施してあり、物語として読ませます
そしてすごく「切実」かつ「リアル」です。

泣ける話かどうかは微妙なところだと思うんですけど、僕は、ちょっとウルウルきました(笑)
あらゆる年代にとって「感動」がある作品なんじゃないかな。

評価:『青くて痛くて脆い』はこんな人におすすめ

評価

近頃、心が少しギスギスしているな⋯。

理想と現実のギャップがツラい⋯。

意外性のある物語を読みたい!

♦︎住野 よる(すみの よる)
1990年生まれの男性。
大阪府在住。

あとがき:青くて痛くて脆い

『青くて痛くて脆い』(住野よる/KADOKAWA)の読書感想文でした。
住野よるの作品はハズレなしですね!
ちょっと読むつもりが一気に読破している自分がいました。
ぜひ読んでみてくださいね。

住野よるおすすめ作品

【1位】『青くて痛くて脆い』

大学新入生の田端楓(たばたかえで)は、同級生の秋好寿乃(あきよしひさの)と出会います。人との調和を大切にする楓は、理想主義者であっけらかんとしている秋好を苦手としつつも、次第に心を許していきます。二人は『モアイ』という団体を作ります。活動理念は「なりたい自分になる」こと。しかし『モアイ』で二人が過ごす時間は長くは続かずーー。

ココが読みどころ!

  • 作品を読み進むにつれて伝わる楓の心の屈折・解放
  • いなくなった秋好はどこにいってしまったのか?
  • 若者が社会を良くするためにもがくことを断罪できるか?


【2位】『君の膵臓をたべたい』

高校生の僕は病院で偶然一冊の文庫本を見つけます。タイトルは「共病文庫」。 そこには、クラスメイトの山内桜良の余命が膵臓の病気によって、いくばくもないということが書かれていました。 それをきっかけとして、仲を深めていく二人。  ラストには衝撃の展開が—。 感動的大ベストセラー小説。

ココが読みどころ!

  • 登場人物のウィットの効いた甘酸っぱい会話
  • 日本中を魅了した感動的な物語性
  • 「君の膵臓をたべたい」と言った少女の心情とは?


【3位】『また、同じ夢を見ていた』

友達のいない少女が、リスカ癖のある女子高生、アバズレと呼ばれる女性、一人静かに暮らす老婆と出会い「幸せとはなにか?」を知るために奔走する物語。 大人から子供まで楽しめる名作。

ココが読みどころ!

  • 病みつきになる主人公の口癖・「人生とは〜」
  • 青少年が一生懸命に考える幸せについての定義とは?
  • 少しファンタジーを含む作品に漂う浮遊感

-日常・青春・恋愛
-, , ,

Copyright© 積ん読と感想わ , 2020 All Rights Reserved.