日常・青春・恋愛

黄色い目の魚/佐藤多佳子_安全圏から出て、自分を変えよう

『黄色い目の魚』(佐藤多佳子/新潮文庫)の読書感想文です。思春期の男女が恋をして、成長する話。と言うと、月並みな気がしますが、作品を支える骨格が、とてもしっかりしているので、説得力のある作品です。あらすじと感想・考察(ややネタバレ)を書きます。

『黄色い目の魚』のあらすじ

もう、後ろの扉は閉ざされている。でも、前の扉には手が届かなくて、暗い廊下のような場所で、私はぼんやりたたずんでいる。

村田みのりと木島悟は、高校の同級生です。村田は、イラストレーターの叔父・通ちゃん、だけに心を許しています。木島は、絵を描くのが上手な、サッカー部員です。彼は、絵描きで他界した父親・テッセイに、一度だけ会ったことがあります。二人は、美術の授業で、ペアになったことをきっかけに、互いを意識するようになります。村田を描きたい木島と、木島の絵がみたい村田。この関係は、友情?それとも恋愛?思春期の微妙な心の揺れと成長を描いた傑作です。
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『黄色い目の魚』の感想文

モロケン
『黄色い目の魚』の感想文を書きます。ネタバレが嫌だよって人はコチラまで、進んでね!

読書感想文としては、村田と木島の(恋愛)関係について、考えるのが素直だと思います。
しかし、僕は、彼女らの”成長“に着目します。

叔父からの自立と父親からの解放

「村田と木嶋の成長とは何か?」

ずばり、

  • 叔父からの自立
  • 父親からの解放

です。
 
周囲とうまくやれない村田は、避難所のように、叔父のもとへと通います。
村田を一人の人間として扱ってくれる叔父は、彼女の良き理解者でした。

ただし、いつまでも、精神的に依存する関係は、健全ではありません。
叔父には叔父の世界があり、村田には村田の世界があります

いつかは、自立しなくてはならないのです。

 
一方、木島は、父の幻影を追うように、絵を描いていました。
彼は、父と同じく、色を使わず鉛筆で作品を作ります。

同時に、彼は”マジ“になることを恐れていました。

父親のようにはなりたくない

そう思えば思うほど、彼は父親に似てくるのでした。

村田と木嶋が成長するためにお互いが必要だった

「最後は自分だけだ。誰かのせいにしたらいけない」

村田と木島は一歩先に進まなくてはいけませんでした。

「心の奥底にある感情をどうにかして伝える」
「不器用でもいいから本気で物事にうちこむ」
「今いる安全地帯から外に踏み出してみる」

そうするために、お互いの存在が、必要でした。

迷い、悩み、苦しみながらも、お互いを真っ直ぐに見据えた時間
それが、彼女らを少しずつ変えていったのです。

成長した彼らの姿を見ることは、一読者として、とても清々しい経験でした。

『黄色い目の魚』は、「自分を変えたい」と思っている人、すべてに勇気を与えてくれる本だと思います。
ぜひ、いろいろな角度から作品を楽しんでみてくださいね。

『黄色い目の魚』はこんな人におすすめ!

モロケン
自分も村田と木嶋のように成長したい!

感情表現が巧みな作品を読みたい⋯。
文学青年

サブカル
安全圏から出て、自分を変えたい。

あとがき:黄色い目の魚

『黄色い目の魚』(佐藤多佳子/新潮文庫)の読書感想文でした。
思春期の子どもが持っている可能性、あるいは潜在能力は、天井知らずだと感じました。
若い人に読んで欲しい作品ですね。

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