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● 【書評】闘病中の恋を描く『余命10年』(小坂流加)は圧倒的リアルだった

『余命10年』(小坂流加/文芸社文庫NEO)の読書感想文です。Twitterで話題になって気になっていた本。著者の小坂流加は、2017年2月に亡くなっています。表向きは恋愛小説ですが、僕は「生きるとは何か?」について考えさせられる本だと思いました。あらすじと感想・考察(ネタバレなし)を書きます。

『余命10年』のあらすじ

20歳の茉莉(まつり)は、不治の病にかかり、余命10年であると宣告される。 その時から、茉莉は、残された時間で何をするか、何をしないか、について自問する生活が始まる。 綺麗事ばかりじゃすまされない人生。 時に喜び、時に怒り、時に哀しみ、時に諦め、そしてやがて恋におちる。 生きるとはなにか? その根本を問い直される名作。
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『余命10年』の感想と考察(ネタバレなし)

徹底して「リアル」が描かれている

不治の病」をテーマにした小説は、たくさんあると思います。 でも、僕はそれらの本と「余命10年」が大きく異なると思いました。 なぜかというと、「余命10年」に描かれている、茉莉の人生は、決して美しいものではなかったからです。 そこには、徹底して「リアル」な感情がありました。 例えば、友人に、病気をしてから、恋に対して消極的になったと言われた時の茉莉のセリフ。

「そりゃ変わるわよ。 10年以上生きた人はいない病気ですなんて言われたら誰だって変わるに決まってるでしょう。 そんな女、誰が愛してくれるわけ? 大体紹介って何? この子病気なんだけどって言って紹介してくれるわけ? そんな女でもいいって男があんたたちの周りにはわんさかいるわけ?」

感情剥き出しですね。 こういったシーンが作品を通じていくつもあります。 僕は、その中に、先ほど述べた「リアル」が存在していると感じたのです。 それに気づいた時、この小説に対する態度を改めました。 「もっと作品に対して敬意を持って読もう」と思ったのです。 こんなことを考える小説は、他になかなかありません。 この「リアル」が生まれた背景が、著者の病と関わっているのかどうかはわかりませんが、僕は、そこにこの作品の深みを感じたのです。

『余命10年』はハッピーエンドだと断言したい

「余命10年」は、恋愛小説ということなので、当然、茉莉の恋の話も描かれています。 誰と、どのように? というのは、みなさんに作品を読んで、知ってもらいたいのですが、彼女の恋はとてもひたむきで真摯でした。 当然、普通の恋愛のように、甘いところばかりではありません。 病気のために諦めなければならないことが茉莉にはたくさんありました。 そのことで、喧嘩をしたこともありました。 しかし、これだけ言わせてもらうと、この恋の結末は、圧倒的なハッピーエンドです。 ぜひ、期待して読んでみてください。

もし余命10年と宣告されたら?

みなさんは「余命10年」と宣告されたら、残された時間で何をしますか?」10年という時間も、長いような短いような感じで難しいですよね。 僕は、やりたいことがあります。 それは「世界一周」です! 海外を放浪すると、いつもそこには自分の知らない世界があって、視野が広がるのを実感できます。 その瞬間が大好きなのです。 それが僕の答えでした。 作中の茉莉のように、タイムリミットを考慮しながら、物事を取捨選択していく姿勢は、見習わなければならないと思いました。

評価:『余命10年』はこんな人におすすめ!

評価

サブカル
不治の病と闘いながら恋をする主人公の思いに触れてみたい

自分も深刻な病気を持っている。人事だと思えない⋯。
文学青年

パリピ
余命10年で自分に何ができるか、考えてみたいな⋯。

あとがき:余命10年

『余命10年』(小坂流加/文芸社文庫NEO)の読書感想文でした。最初はゆるやかに物語が進行します。しかし後半に入ると一気に緊張が増し、気付いたら泣いていました(笑)とてもいい小説です。著者のご冥福をお祈りします。

♦︎小坂 流加(こさか るか)
1978年静岡県三島市生まれ。
肺動脈性肺高血圧症により2017年2月逝去(享年39歳)。
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