純文学

■【書評】『よるのふくらみ』(窪美澄)_ちょっぴり大人な恋愛小説

『よるのふくらみ』(窪美澄)の読書感想文です。ちょっぴり大人な恋愛を描いた作品です。あらすじと感想・考察(ややネタバレ)を書きます。

『よるのふくらみ』(窪美澄)のあらすじ

同じ商店街で幼なじみとして育ったみひろと、圭佑、裕太の兄弟。圭佑と同棲しているみひろは、長い間セックスがないことに悩み、そんな自分に嫌悪感を抱いていた。みひろに惹かれている弟の裕太は、二人がうまくいっていないことに感づいていたが-。抑えきれない衝動、忘れられない記憶、断ち切れない恋情。交錯する三人の想いと、熱を孕んだ欲望とが溶け合う、究極の恋愛小説
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『よるのふくらみ』(窪美澄)の感想と考察(ややネタバレ)

『よるのふくらみ』の感想と考察を書きます。ネタバレが嫌だよって人はコチラまで、進んでください。

 この作品を読んでいてまず驚いたのが、地域(商店街)における人間のネットワークが非常に濃ゆいことでした。

 みひろの母親が男のもとに飛び出した時は、みひろが「お前のかーちゃん、いんらんおんな!」と友達の健司に揶揄され、それに対して圭佑が怒り、健司を殴る…などなど、そういった出来事がすべて地域間で共有される。

 そんな環境が、本作品の舞台でした。

 当然、そのような中で男女関係が噂にならないことはあり得ません。

 とても恋愛がしにくいところですね
 

 上で述べたような恋愛のしにくい環境で、圭佑と裕太は共に幼なじみのみひろに想いを寄せてしまいます。

 もうこれは修羅場になるのは火を見るよりも明らかですよね。

 物語では、先に告白をした圭佑がみひろと同棲をしているので、裕太に対して一歩先んじているように見えますが、二人の間には”セックスレス”という問題が生じていました。

 それだけでなく、圭佑は男性として不能でした。

 そのため、みひろの本能的な欲求に圭佑は答えることができません

 そして、少しずつ関係が崩れていく様子が描かれています。

 最後に、”セックス”について、筆者は男女関係においてどうしても必要なものではないような気がします

 その点、考え方は圭佑に似ていますね苦笑。

 ですので、圭佑が”セックス”を子供を産むための手段であるかのように考えてしまうことは、完全に賛成という訳ではありませんが、理解することができます。

 個人的に、もっとも大事なことは、そういったことをパートナーと相談して、納得、あるいは合意することだと思います。

 性欲の強弱は個人差があるので、なんとも言えないところがあるのですが、”セックス”が恋愛において、重要な要素であることは、受け入れなくては、ならないと思います。

評価:『よるのふくらみ』はこんな人におすすめ!

評価

モロケン
大人の恋愛の世界を覗いてみたい⋯。

性に関する悩みを抱えている⋯。
文学青年

サブカル
ドロ沼の恋愛関係の最中にいる⋯。

あとがき:『よるのふくらみ』(窪美澄)

『よるのふくらみ』(窪美澄)の読書感想文でした。

やっぱり、窪美澄の本は面白いですね。

恋愛小説、その中でも、セックスが重要な概念として描かれることが多いと思います。

またこの作品では、物語の主体が、みひろ、裕太、圭佑、と順番に入れ替わり、文体がそれぞれかなり異なるのも多才さがうかがえると思います。

ちょっと、大人な恋愛小説を読みたいよって方にすごくぴったりな本だと思いますので、もしご興味があれば、読んでみてくださいね。

窪 美澄(くぼ みずみ)
1965年東京都稲城市生まれ。
カリタス女子中学高等学校卒業。短大中退。
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