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■ 【書評】『虹色と幸運』(柴崎友香)_ちゃんとした大人になれてるのかな?

『虹色と幸運』(柴崎友香/ちくま文庫)。30代の日常をリアルに描いた作品です。あらすじと感想・考察(ややネタバレ)を書きます。

『虹色と幸運』のあらすじ

あらすじ

「どうするかなー、今後の人生」イラストレーターの珠子、大学職員のかおり、雑貨店を始めた夏美。30代になった三人の日常(仕事・恋愛・家族)をありのままに描いた作品です。日常の細部が、かけがえなのない瞬間の連続だと気づかされます。
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『虹色と幸運』の感想と考察(ややネタバレ)

『虹色と幸運』の感想と考察を書きます。ネタバレが嫌だよって人はコチラまで、進んでください。

三人称の多元小説

「虹色と幸運」で、特徴的なのは、三人称の多元小説だということです。

すなわち、小説の主体が、かなり頻繁に、入れ替わります

それは、主人公の三人だけではなく、他の登場人物でも行われます。

当初は「少し読みにくい文体だな」と思いました。

しかし、読み始めてみると、スイッチの入れ替えが巧みなこともあり、まったく気になりませんでした。

それどころか、1つの事象あるいはテーマに対する考察が立体的になるという利点があり、非常に良かったと思います。

日常を描くことの意味について

 
「虹色と幸運」で描写される日常は、特に展開があるわけでなく、ごく平凡なものです。

では、それらを描くことに意味はあるのでしょうか?

僕はYESだと思います。

なぜなら、世の中の大半の人間が、非常にありきたりな日常を生きているからです。

確かに、展開がめまぐるしい作品は、読んでいて面白いです。

ですが、そのような作品は、現実世界の日常からは、かけ離れており、共感することは難しいと言えるでしょう。

一方、柴崎友香の日常に対する描写は、共感しやすいのです。

このことを僕は「作品が読者に寄り添ってくれる」と表現します。

柴崎友香は、作品を通じて、日常における「迷い」さえも肯定してくれます。

そのことに、僕は、すごくあたたかみを感じるのです。

ただ日常を生きることも楽ではない、現代の日本社会において、柴崎友香のような小説家の役割は、重要になっていくのではないでしょうか。

タイトルの「虹色と幸運」について

 

タイトルの「虹色と幸運」について、言及している箇所があったので、引用します。

 他人の幸運はくっきりとよく見えるけど、自分の幸運はもやにつつまれたように、いやもっと濃い、雲の中にいるように、手さぐりで確かめるしかなくて、そこにあるのに、すぐに見えなくなってしまうのかもしれない。

この文章から、幸運は、多種多様であることがわかります。

これが、タイトルの”虹色”の由来となっているのではないでしょうか。

ちゃんとした大人って?

「虹色と幸運」では、”ちゃんとした大人“というワードが数多く登場します。

ここでは、”ちゃんとした大人”とは何かについて考察してみたいと思います。

一般的に、考えられる要素を並べてみると、

  • 20歳(成人)をむかえていること
  • 経済的に自立していること
  • 結婚をして子供がいること

など、が挙げられると思います。

しかし、僕は、かおりが言うような「ちゃんとした大人になれる時なんてやってこない」という意見に同意します。

そもそも”ちゃんとした”という言葉が、すごく曖昧です。

ですので、個人的には、そんな言葉に縛られる必要などなく、ただ、目の前のことをやり遂げることを積み重ねていくことのほうが、人生において、重要だと思います。

評価:『虹色と幸運』はこんな人におすすめ

評価

モロケン
かけがえのない日常を大切にしたい!

ちゃんとした大人って何なの?
文学青年

サブカル
生きるって大変だなー!


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あとがき:虹色と幸運

 
『虹色と幸運』(柴崎友香/ちくま文庫)の読書感想文でした。「虹色と幸運」は、非常に興味深い作品だったのですが、アラサー女子の日常という、僕とはかけ離れたことについて、述べていたので、感情移入することが、ちょっと難しかったです。逆に、ハマる人にはハマる作品だといえるでしょう。

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