住野よる

● か「」く「」し「」ご「」と「

投稿日:2017年5月23日 更新日:

はじめに

か「」く「」し「」ご「」と「(かくしごと) 住野よる 感想. 住野よるさんの4作目となる長編小説です。この作品は、「小説新潮」で、2015年9月号より5回にわたって掲載された作品をまとめ加筆修正したものです。 タイトルの不思議さが目を引きますが、これは作品にとって非常に重要な意味を持っています。 あらすじと感想をまとめます。

 か「」く「」し「」ご「」と「

読書時間の目安

3時間3分(275ページ)

あらすじ

“か「」く「」し「」ご「」と「”は、「特別なちから」を持つ5人の高校生が紡ぐ、ありふれた日常の物語です。 登場人物の紹介は以下の通り。

1~5章の物語は、それぞれ5人の視点から語られます。 また、彼らが持っている「特別なちから」の性質は各々、異なっています。 「青春小説×ファンタジー」な展開に目を離せません。

公式PVもあります。

ここから先ネタバレありです。

特別なチカラについて

まず、5人が持つ特殊能力について説明します。 以下は、それぞれの章のタイトルです。

  1. か、く。し!ご?と
  2. か/く\し=ご*と
  3. か1く2し3ご4と
  4. かスペードくダイヤしクラブごハートと(本来はトランプ記号)
  5. か↓く←し↑ご→と

タイトルである”か「」く「」し「」ご「」と「”の”「」”(括弧)に入る記号がそれぞれの能力に関わっています。

[京くん]か、く。し!ご?と

まず始めに、京くんの特殊能力は、頭の上に浮かぶ感情の記号(, 。 ! ?)が見えることです。 驚いたり嬉しかったりすると「!」。疑問に思うことかあれば「?」。 他の4人の能力と比べると1番地味かなあと思います。でも、それが京くんらしい。

[ミッキー]か/く\し=ご*と

ミッキーの特殊能力は、感情の動き(/ \ = *)が見えることです。マイナスの感情(/)、プラスの感情(\)、変化なし(=)、常に回転している(*)といった具合です。 わかりやすいですね。 単純なミッキーにぴったりです。 明るくてポジティブな彼女は、他人の/を¥に変えることが大好きです。 ですので、他人に積極的に干渉します。 まれに、それがお節介と見られることもありますが、本人は気にしないです。

[パラ]か1く2し3ご4と

パラの特殊能力は、人の鼓動とそのリズムが(1 2 3 4)で見えることです。 自分の鼓動も見えるため、常にそれを平静に保つ癖があり、そのことから非常に冷徹な性格だと自分を卑下しています。 また、表面上のキャラクターと内面にもっともギャップがあるのが彼女です。 個人的には、彼女に一番感情移入できました。

[ヅカ]かスペードくダイヤしクラブごハートと

ヅカの特殊能力は、人の喜怒哀楽が(スペードダイヤ クラブハート)で見えることです。 スペード(喜び)、ダイヤ(怒り)、クラブ(哀しみ)、ハート(楽しみ)を表現しています。 彼の能力はかなり広範囲で使用できるかつ、記号の大小によって、それぞれの感情の深さを知ることができるので、他の4人の能力と比べて、一番クオリティが高いなと思いました。 ミッキーと同じように、この能力を生かして他人の問題を解決しようとする傾向があります。

[エル]か↓く←し↑ご→と

最後に、エルの特殊能力です。彼女は他人の恋心が(↓ ← ↑ →)の向かう方向によって、わかるというものです。 他の能力と比べると、用途がかなり限定的だと思いますが、青春小説では、その能力が存分に生かされるんだろうなと思います。

感想

5人のキャラクターが持つ能力について、ご紹介しました。 最初、この本を見た時に、なんでこんなにややこしいタイトルにしたんだろう? と疑問でしたが、読み終わってみると、とても遊び心があって、良いタイトルだし、よくこんなこと思いつくなあと、住野よるさんの発想力に舌を巻きました。

特殊能力がある5人はすごいなと思いますけど、本人たちにとっては、必ずしも良いことばかりではないと思います。 他人の心が読めてしまうってある意味地獄じゃないですか? 自分に向けられるのが好意ならいいですけど、それが悪意だったり僻みだったり妬みだったり嫌悪だったり、した時でも、そのことがはっきりとわかるわけですもんね。 とても、生きにくいと思います。

この本を読んでて思ったんですけど、現在の世界は、対人関係における恐怖感が昔よりも増したような気がしています。 いや、これといって、データとかはっきりとした根拠はないんですけど、肌感として、そう思うんですよ。 それはきっと、インターネットの影響が大きいと思います。 コミュニケーションの範囲は広がり、その方法や種類も様々で、しかも物理的な時間の制約も超える(例えば、学校から帰ってもSNSでコミュニケーションは継続する)。 その重要性が増していく中で、一歩間違えて地雷を踏んでしまうと、多大な影響がある(いじめとかに発展したりする)、そのことから生じる、間違っちゃいけない感。 それが、他人の感情を推し量る感受性を加速させる。 その極致が、今回の作品の特殊能力だったりするんじゃないかと思うんですよ。 一見ただほのぼのとしたストーリーに見える作品ですが、そういったテーマも暗に示しているしているのではないかなとちょっと考えちゃいました。 まあ、邪推な気もするんですが。

か「」く「」し「頁

実は、この話にはサイドストーリーがあります。 裏表紙にあるこのQRコードを見てください。

ここからジャンプすると、”か「」く「」し「頁”というページに遷移します。

こんな感じで、各キャラクターにちなんだ5つのクイズが用意されており、正解するとそれぞれの物語を読むことができます。

正解するとこんな感じです。

読める物語は、

  1. な、ら。い!ご?と
  2. つ/き\づ=き*し
  3. な1か2な3お4り
  4. あスペードかダイヤらクラブさハートま
  5. は↓つ←で↑え→と

です!

ぜひ、読み終わったけど、これやってないという方はトライしてみてくださいね〜!

正解は自分で探してみましょうー! きっとそのほうが楽しいですよ^^

住野よるさんの過去記事

この作品で住野よるさんの作品は全て読みました! どの作品も独自の世界観を持っていて、面白いです。 僕が一番、住野よるさんの文体でいいなあと思うのは、どの作品でも見られる「何気ない会話の中にあるユーモア」です。 これは、彼女にしかない、独自のセンスだと思います。 ここでは、まとめの意味も含めて、住野よるさんの過去記事を紹介したいと思います。

①君の膵臓をたべたい

『君の膵臓をたべたい』 – 積ん読と感想わ
この作品が住野よるさんとの出会いでした。 その圧倒的な描写力に感動しました。

②また、同じ夢を見ていた

『また、同じ夢を見ていた』 – 積ん読と感想わ

住野よるさんのファンタジーな世界観に触れた作品。 名言が多い本でした。

③よるのばけもの

『よるのばけもの』 – 積ん読と感想わ

この作品では、前2作とは趣が違う独自の世界観を堪能しました。

どの作品もとても魅力的なお話でした。

あとがき

以上、”か「」く「」し「」ご「」と「”について記事をまとめました。 この作品は、住野よるさんの作品の中でもっとも遊び心が光ったものだと思います。 さくさく読めるので、未読の方はぜひぜひ読んでみてくださいねー!

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