綿矢りさ

●『勝手にふるえてろ』(綿矢りさ)

投稿日:2017年3月1日 更新日:

『勝手にふるえてろ』(綿矢りさ)の読書感想文|タイトルにパンチが効いていますね。芥川賞作家の「綿矢りさ」さんは、独自の世界観を持ち、言語化しにくい感情を上手に文章に落とし込む技術が素晴らしいです。『勝手にふるえてろ』は、彼女のセンスが鋭く光る作品です。

『勝手にふるえてろ』のあらすじ

 江藤良香、26歳。

中学時代の同級生への片思い以外恋愛経験ナシ。

おたく期が長かったせいで現実世界にうまく適応できないヨシカだったが、熱烈に愛してくる彼が出現!

理想と現実のはざまで揺れ動くヨシカは時に悩み、時に暴走しながら現実の扉を開けてゆく。

『勝手にふるえてろ』の感想

ココがポイント

  • 理想を求めるか現実を受け入れるか?
  • 子供のままでいるのは悪いこと?
  • 切れ味鋭い言葉のセンスが光る描写

「勝手にふるえてろ」のテーマは、理想と現実どちらを選ぶかというものです。
理想と現実を象徴するような人物として、「イチ」と「ニ」が描かれています。
結果的にヨシカは、「現実」を選び、それが成長だと読み取れます。

 もういい、想っている私に美がある。

イチはしょせん、ヒトだもの。

しょせん、ほ乳類だもの。

私の中で十二年間育ちつづけた愛こそが美しい。

イチなんか、勝手にふるえてろ。

個人的には、「理想を求めること」あるいは「子供のままでいること」は、決して悪くないと思います。
私は、現実に適応して大人の仲間入りをするなら、理想を求めて子供のままでいい、と思ってしまいます。
小さい頃にみた憧憬は、きっと世界のカタチだと信じているからです。

「理想」と「現実」のどちらを選ぶかに優劣はないでしょう。
一人一人の価値観に選択を委ねるのが一番だと思います。

こんな方におすすめ

  • 理想と現実の間で苦しんでいる人
  • 一風変わった恋愛小説を読みたい人
  • 「蹴りたい背中」しか読んだことがない人

『勝手にふるえてろ』を読んで

綿矢りささんの言葉のセンスが好きです。
年代が近いこともあって、共感できることが多いんですよね。
スランプもあったようですが、乗り越えられたみたいで一安心です。
これからも新しい作品を楽しみに待ちます。

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