はじめに
『次の町まで、きみはどんな歌をうたうの?』 著:柴崎友香 2006年3月 河出文庫より.
表題作と「エブリバディ・ラブズ・サンシャイン」を収録。
恋をめぐる2つのストーリーは、せつなくユーモラスです。
あらすじと感想を書きます。
次の町まで、きみはどんな歌をうたうの?
あらすじ
次の町まで、きみはどんな歌をうたうの?
友人カップルの恵太とルリちゃんの旅行に、「ぼく」こと望とコロ助はそれぞれの思惑を持って便乗参加した。
わがままな望の態度で、行き当たりばったりになってしまったが、旅路はなかなか魅力的だった。
車にのってる四人の人間模様の変遷と未来への展望を描いた傑作です。
エブリバディ・ラブズ・サンシャイン
失恋から逃れるように、眠り続けることを選んだ女子大生・工藤は半年という期間を経て、のそのそと大学に通い始める。
授業中は勿論、先生と会話している時でさえ眠ってしまう工藤の目標は、「戦うこと。 ねむらないこと」。
工藤、ロンドンに行った片思いの相手・花田、同じ研究室のかおるちゃんの3つの視点から物語は紡がれる。
感想
以下、多少のネタバレありかもです。 未読の方はご注意ください。
これは、どちらの物語も読み応えがありました。
両者とも主題となってくるのは「恋愛」と「未来への展望」です。
「次の町まで、きみはどんな歌をうたうの?」では、恵太とルリちゃんのラブラブ具合、望のルリちゃんに対する片思い、コロ助の清水さんに告白する決意、が描かれています。
望は、ルリちゃんに告白されて当然断られるわけですが、その後、次のステップに進もうとする決意を垣間見ることができます。
「エブリバディ・ラブズ・サンシャイン」では、工藤の花田に対する片思い、かおるからの予想外の好意、が描かれています。
工藤とかおるの新しい関係は、どのように進展していくのか、その予兆を感じさせるところで作品は終わっています。
どちらもストーリーは平坦なのに、そういった人間模様の機微はしっかり言及されていて、日常の中にテーマを含ませる技術がすごいなと関心しました。
旅行している時の移動時間ってけっこう面白いですよね?
僕はそう思います。
本を読んだり、友人と駄弁ったり、そういうなんでもない瞬間が、とても大切なことのように思える時があります。
ですので、目的地に到着する時は、「着いた!」という喜びがあるのと同時に、「着いてしまった…」と少し落胆する時もあります。
この気持ちってけっこう、みんなそうなのかな? と思うんですが、その辺りどうなんでしょう?
僕はめちゃくちゃよく寝るので、主人公の工藤にはとても共感できました。
起きたら夕方なんて、日常茶飯事です。
ただ、最近は、生活リズムが崩れると情緒不安定になるので、できるだけ、規則正しい生活ができるように、努力しています。
それにしても、大学の講義はさぼってばかりだったなー。
講義は面白いんですけど、単純に起きれなかったんですよね。
もし、僕が、もう一度、大学生に戻るとしたら、しっかり全部の講義を出席したいと思います。
このブログの読者さんで、まだ大学生になっていない方は、サボっている先輩のことは見習わずに、普通に講義は出席したほうがいいですよ。
老婆心ですが…。
えーっと話がそれましたが、まとめると、今回の作品は、「恋愛」と「未来への展望」をテーマにした日常系のお話でした。
柴崎さんが描く日常は素晴らしく良いというのは、このブログでも何回も言っているので、もういいと思いますが、初めて、柴崎さんの作品を読むという方は、きっとそのことに感心すると思います^^
こんな方におすすめ
- 何か新しいことを始めたい人
- 「恋してるかも…?」と思ってる人
- ほんわか日常系の話を読みたい人
あとがき
どちらの作品も良かったですねー。
僕は、表題の作品のほうが、好きでした。
ただ、主人公はあまり好きになれなかったので、評価は■(3 point)とさせていただきました。
今後も、柴崎さん作品を読み込みまくります(^_^)/