天沢夏月

■ 『時をめぐる少女』

投稿日:2017年6月15日 更新日:

はじめに

※本記事はネタバレなしです 時をめぐる少女 天沢夏月. 「ねぇ、今のあなたは、幸せ?」 「時かけ」ならぬ「時めぐ」ですね! SFじゃなくてファンタジーかな? 読みやすい文体で、とてもサクサクと読み進むことができました。 あらすじと感想です。

時をめぐる少女

読書時間の目安

2時間52分(258ページ)

あらすじ

 イチョウ並木をまっすぐ進むと時計の文字盤のような広場がある。通称「とけいじかけのプロムナード」と呼ばれるその場所には、ある噂がある。 それは、文字盤を時計周りに歩くと未来の自分に会え、反時計周りに歩くと過去の自分に会える、と言うものだ。9歳の葉子のもとにあらわれたのは、結婚をまじかに控えているという女性。 彼女の笑顔には、葉子と同じ、えくぼがあった。

感想

 「時をめぐる少女」は、葉子がそれぞれ、9歳、13歳、21歳、28歳の時を4つの章に分け、綴られています。 各章ごとに、葉子は様々な悩みを抱えています。 ただ、共通して言えることは、それぞれの悩みが、その時の葉子にとって、非常に切実であることです。

 人間、生きていると、誰しもが、昔の自分はなんでこんな些細なことで思い悩んでいたんだろうと考えることがあると思います。 それは、時間が流れるにつれて、視野が広がったり、経験が増えていくことで、そう思うようになるんだと思います。 しかし、普通は、じゃあ、過去の自分に対して、問題の解決策を教えてあげよう、ということはできないです。 当然ですね。 ですが、「時めぐ」の世界では、それが起こり得るのです。 また逆に、未来の自分に対して、どうしてそんなことで悩んでいるの? というパターンもあるわけです。

 とは言うものの、「時かけ」みたいに自由自在に、時間軸を行き来するということは、この作品では許されていません。 それは、一定の条件が満たされた時かつタイミングが良くないと、実現しないのです。 そこが、また、この作品の面白いところであると思います。 詳しくは、作品を読んでみてくださいね^^

 作中に「ぼうしさん」という年配の男性が登場するのですが、彼が葉子に語ったセリフで印象深いものがあります。

「・・・私が言いたいのは、時間なんてつかみどころのないものを、人の尺度で測ろうとすること自体無理なのではないか、ということだ。 時間は早く過ぎるときは早く過ぎているのかもしれないし、遅く過ぎているときは遅く過ぎているのかもしれない。 人によって、場所によって、時間の流れは違うのかもしれない—この場所みたいに」

p31より

 この言葉を聞いていて、なんとなく「相対性理論」という言葉が頭に浮かびました笑 含蓄のあるセリフですよね。 ただ、これは、おそらく誰もが、経験上、頷くことができると思います。 楽しい時は早い、つまらん時は遅い、みたいな。 時間という概念は、絶対ではなくひどく曖昧なものなのかもしれませんね。 そう考えると、ちょっとした時間に関する奇跡が起きるのも、あり得るのかな?

 みなさんは、過去の自分に会いたいですか? 未来の自分に会いたいですか? それは、なぜですか? 僕は、大学生の時の自分に会いたいです。 そして、自分が本当に何をやりたいかに関して、もっと真剣に考えるべきだよって言いたいです。 ほとんど、学生生活も就活も惰性でやって、全部どうでもいいやって気分でいたので。 うーん、でも、上から目線で説教臭いのは嫌ですね。 もうちょっと、大人の余裕を持って、優しく諭してあげたいですね笑 まあでも、基本的に後悔はしていないので、会わなくてもいいや(どっちw)。

 「時めぐ」は、いかにもタイムループものっぽいけれども、その本質的なところは葉子の成長に主眼が置かれてあり、「時間移動」というのは、あくまで作品を脚色するためっていうイメージです。 ですので、SF作品のような複雑性はないし、文体も平易で読みやすいので、気軽に読めて、ああ、いい話だったなと思える作品だったと思います。

こんな方におすすめ

  • タイムループ系のお話大好きという人
  • サクサクと読める面白い話を読みたい人
  • つかみどころのない不思議な話を読みたい人

あとがき

 「時めぐ」は非常に読みやすい話でした。 ストーリーも面白く、楽しく読めたのですが、作品のメッセージ性のようなものは、あまり感じられなかったような気がします。 それでも、いい本だと思うので、ぜひ読んでみてくださいね!

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