青山七恵

■ 『ひとり日和』

投稿日:2017年4月3日 更新日:

はじめに

 今回は、青山七恵さんの芥川賞受賞作品である『ひとり日和』(2010 河出文庫)について、感想を書きたいと思います。

 この作品は以前、読んだことがあって、とても面白かった記憶があるものの、内容は完全に忘れちゃっていたので、再読しました。

 新しい作品に出会うことも大切ですが、せっかくこういうブログを書いているのですから、既に読んだことがある本も再読というかたちで今の自分のフィルタをかけて、感想を書いていければと思います。

『ひとり日和』

あらすじ

 世界に外も中もないのよ。

 この世は一つしかないでしょ。

 二十歳の知寿が居候することになったのは、二匹の猫が住む、七十一歳・吟子さんの家。

 駅のホームが見える小さな平屋で共同生活を始めた知寿は、キオスクで働き、恋をし、時には吟子さんの恋にあてられ、少しずつ成長していく。(巻末より)

感想

 「別れ」と「出会い」。

 それが、この作品のテーマです。

 知寿がお世話になる吟子さんは、これらの達人です。

 七十一歳までに多くの「別れ」と「出会い」を経験し、ある種の悟りの境地にいるかの様に見えます。

 彼女からしてみたら、知寿の恋愛などは、若気のいたりのようなもの。

 しかし、それを冷めた目線でみるのではなく、優しく見守ってくれる、言葉を授けてくれる、そういった面は吟子さんの度量の深さを感じさせます。

 
 知寿は思います、「いつまで別れを繰り返したら一人前になれるのか」。

 進学も就職もせず宙ぶらりんな状態であっても、ひとりでちゃんとやりたいという気持ちは人一倍です。

 この作品では、決して、知寿は優等生なキャラクターには描かれていません。

 手癖が悪く、周りの人のどうでもいい小物をくすねて靴箱に保管する、という習慣も、知寿がまだまだ不完全な人間であるということを強調しています。

 
 僕も、知寿と同じように漠然と「一人前になりたい」と思うのですが、残念ながら、そうできていません。

 まわりの人に支えてもらいながらなんとか生きている、ぎりぎり生きているといったところです。

 この物語の最後では、知寿が成長していく場面が描かれています。

 その描写があるおかげで、この作品はポジティブな文脈を持つことができています。

 僕にとって、それは少しまだ眩しすぎます。

 知寿はすごいなあと思います。

 僕自身は、マイペースに頑張るだけです。

 今はまだ「別れ」も「出会い」もしんどいです。

まとめ

  • 吟子さんの余裕のある態度は経験による成長から得たもの
  • 誰かと「別れる」ことは「出会う」ことと同じくらい大切

あとがき

 今回は、青山七恵さんの作品である『ひとり日和』について記事を書きました。

 この本を初めて読んだ時は、主人公の性格が悪すぎて、おばあちゃん可愛そう的なことを思った気がするのですが、今、読んでみると、知寿の気持ちや意地悪な態度をとってしまう理由も、なんとなく、理解できるような気がしました。

 この小説自体はわりとほっこりできる作品だと思うので、読む人を選ばずおすすめできる作品です。

 お時間があれば是非読んでみたらいかがでしょう?^^

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