日常・青春・恋愛

こうふく みどりの(西加奈子)_普通の女の子の普通の日常をみずみずしく描く

大阪のとある町。14歳の緑はまだ初恋を知らない女の子。しかし転校してきたコジマケンが気になる。緑の実家・辰巳家は、女性家庭。夫が失踪中のおばあちゃん。家庭のある男性を愛して緑を産んだお母さん。バツイチ(離婚予定)子持ちの藍ちゃん。藍ちゃんの娘の桃ちゃん。ペットの猫も犬もメスである。不思議な魅力のある辰巳家には、さまざまな事情を抱えた人たちが集まる。

うつくしい人/西加奈子_眩しすぎて目を背けたくなる光がある

主人公・蒔田百合は、純真さ故に苛められ引きこもりになった姉のようになるまいと、他人にどう思われるかを常に考えそつなく振る舞う生き方を選んだ。しかしある日、会社でのちょっとしたミスで人の前で泣かないと誓ったはずの涙が溢れ、会社を退職する。自分のアイデンティティを見失った百合は、茫然自失なまま、とある離島に一人旅に出ることに。旅先でも精神不安定な自分に嫌気がさしていた百合だが、ドイツ人の美しい青年・マティアスとホテルの冴えないバーテンダー・坂崎と出会い、徐々に自分の輪郭を取り戻していく。暗いトンネルから見えた一筋の光明を巧みな描写で表現した傑作。

寝ても覚めても/柴崎友香_ピントが合わない恋愛模様の行く末とは?

不思議な雰囲気をまとう青年・鳥居麦に出会いたちまち恋に落ちた朝子。しかし麦はある日、朝子の前から姿を消してしまう。それから幾年が経ち東京に引っ越した朝子の前には、麦にそっくりの亮平と出会う。二人の性格は似て非なるものだが、朝子は亮平と付き合うことに。目の前の亮平を好きだと思う一方、麦への気持ちも捨てきることができずに、日々を過ごしていた朝子に急展開が押し寄せる。甘くもあり苦くもある十年の恋を描く良作。

異世界購買部!学生食堂はじめました。/須藤裕美_あなたのまわりの人を巻き込むヒントがあるかも?

『異世界購買部!学生食堂はじめました。』(須藤裕美)の読書感想文です。ユニークなストーリー展開と微笑ましい登場人物の姿が印象的な作品です。

麦本三歩の好きなもの/住野よる_あなたの歩く先を照らす光になる

大学の図書館で働く天然系女子「麦本三歩」。職場の3人の先輩を「優しい先輩」「怖い先輩」「おかしい先輩」と脳内で呼んでいて、和気藹々と働いている。ぼけーっとしている三歩は、何も考えずに生きているようにみえる。しかし実際には、人並み以上に気持ちに対して繊細だったりする。そんな愛らしく憎めない三歩の、のほほんとした日常を大切に紡いだ作品。

青くて痛くて脆い/住野よる_巻き戻せない痛みを抱えて人は強くなる

大学新入生の田端楓(たばたかえで)は、同級生の秋好寿乃(あきよしひさの)と出会います。人との調和を大切にする楓は、理想主義者であっけらかんとしている秋好を苦手としつつも、次第に心を許していきます。二人は『モアイ』という団体を作ります。活動理念は「なりたい自分になる」こと。しかし『モアイ』で二人が過ごす時間は長くは続かずーー。

黄色い目の魚/佐藤多佳子_安全圏から出て、自分を変えよう

村田みのりと木島悟は、高校の同級生です。村田は、イラストレーターの叔父・通ちゃん、だけに心を許しています。木島は、絵を描くのが上手な、サッカー部員です。彼は、絵描きで他界した父親・テッセイに、一度だけ会ったことがあります。二人は、美術の授業で、ペアになったことをきっかけに、互いを意識するようになります。村田を描きたい木島と、木島の絵がみたい村田。この関係は、友情?それとも恋愛?思春期の微妙な心の揺れと成長を描いた傑作です。

■ 【書評】『虹色と幸運』(柴崎友香)_ちゃんとした大人になれてるのかな?

「どうするかなー、今後の人生」イラストレーターの珠子、大学職員のかおり、雑貨店を始めた夏美。30代になった三人の日常(仕事・恋愛・家族)をありのままに描いた作品です。日常の細部が、かけがえなのない瞬間の連続だと気づかされます。

▲ 【書評】『青空感傷ツアー』(柴崎友香)_友情と恋心のポップな旅物語

面食いな主人公・芽衣は、絶世の美少女・音生(ねお)の言いなり。二人は思いつきのまま、大阪->トルコ->四国->石垣島へと感傷旅行を敢行します。友情と恋心を切なく描いたキュートでポップな物語です。

【書評】 『次の町まで、きみはどんな歌をうたうの?』(柴崎友香)_大切なことは日常に潜んでいる

『次の町まで、きみはどんな歌をうたうの?』(柴崎友香/河出文庫) の読書感想文です。せつなくユーモラスな作品です。あらすじと感想・考察(ややネタバレ)を書きます。

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