江國香織

●『落下する夕方』(江國香織)

投稿日:2017年2月28日 更新日:

『落下する夕方』(江國香織)の読書感想文|落下する夕方は、「恋愛」と「狂気」が紙一重であることに気づかされる作品です。登場人物の華子の不思議な魅力は、まわりの人たちの人生にさまざまな影響を与えます。読めば読むほど味が出てくる、深みのある文章でした。

『落下する夕方』のあらすじ

 梨果と8年同性していた健吾が突然、家を出た。

それと入れ替わるように押しかけてきた健吾の新しい恋人・華子と暮らすはめになった梨果は、彼女の不思議な魅力に取りつかれていく。

すると華子を追って健吾も梨果のもとへ来るようになり…。

逃げることも、攻めることもできない奇妙な三角関係。そして愛しきることも、憎みきることもできない人たち…。

永遠に続く日常を温かで切ない感性描いた、恋愛小説の新しい波

『落下する夕方』の感想

ココがポイント

  • カリスマ的な魅力を持つ華子の苦悩
  • 「恋愛」と「執着」を隔てるものは?
  • 誰もが息を飲むラストシーンの描写

カリスマ的な魅力を持つ華子の苦悩

ある日、突然やってきた華子。
彼女は、どこにいっても自然にふるまい、周りの人を惹きつけて、「愛情」を得ることができます。
しかし、彼女が求めているものは「愛情」ではありません。
おそらく華子は、自分でも自分が何を求めているのか、わからなかったのではないでしょうか。

華子は、さまざまな形で愛を受け取りますが、それに応じることができません。
彼女にできる唯一のことは、相手を傷つける前に姿を消すことだけだったのかもしれません。
華子の苦悩を本当に理解できる人は、いなかったのです。
このような華子の危うさに、人は興味を覚えるのではないでしょうか。

「恋愛」と「執着」を隔てるモノは?

「恋愛」と「執着」の関係性について考察します。
執着は「依存」と置き換えられるかもしれません。
私は、恋愛と執着はコインの表裏のようなものだと考えています。

「共依存」ってそんなに悪いことでしょうか?
共依存するほど、相手を思うことは素晴らしいと思います。
きっと、親が子供を想う気持ちのように大切です。

しかし、一方的な執着はいけませんね。
下手すれば、犯罪です。
相手の気持ちは、尊重する必要があります。

「落下する夕方」の中には、さまざまな執着が存在します。
そのような気持ちは、とても人間らしく愛おしいものだと思います。

こんな方におすすめ

  • 純度100%の恋愛小説を読みたい人
  • 江國香織さんの世界観を味わいたい人
  • 個性的な人物に魅力を感じる人

『落下する夕方』を読んで

『落下する夕方』(江國香織)の読書感想文でした。華子というキャラクターを想像の世界で生み出せる著者は、ずば抜けて豊かな発想力を持っていると思います。江國香織さんの作品はどれも読み応えがあるので、他の作品も記事にしていきます。

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