


<階段島>シリーズ
- いなくなれ、群青
- その白さえ嘘だとしても
- 汚れた赤を恋と呼ぶんだ
- 凶器は壊れた黒の叫び
- 夜空の呪いに色はない
- きみの世界に、青が鳴る


『いなくなれ、群青』を動画でゆるっと書評
『いなくなれ、群青』のあらすじ
あらすじ
<階段島>には捨てられた人びとが暮らしている。
高校生の「七草」もそのうちの一人。
島の住民は、自分が島に来た理由を知らない。
島から出る唯一の方法は、失くしたものを見つけること。
これは階段島を支配する<魔女>が決めた掟だ。
ある日七草は、幼なじみの「真辺由宇」と再会する。
どこまでもまっすぐな真辺は、島の謎を必死に解き明かそうとする。
そして物語の結末は、切なさをはらんでいた。
『いなくなれ、群青』の読書感想文

まず、七草がピストルスターの落書きに込めた思いについて書きます。
でも地球から遠く離れているから、僕たちが目にする輝きはささやかだ。
ピストルスターはひっそりと、でも強く、気高く輝いている。
僕はピストルスターの輝きを愛している。
たとえその光が、僕の暗闇を照らさなかったとしても。
引用P257より
この後、七草はこのように続けています。
「僕は真辺の隣にいたいわけじゃない。
ただ彼女が、彼女のままいてくれればそれでいいんだよ。
馬鹿みたいにまっすぐに、強い光みたいに理想を追い続ける彼女がこの世界のどこかにいるのなら、それだけでいい」
引用P257より
七草は、真辺の<理想主義>をピストルスターの輝きに重ねます。
だから、真辺を島で見つけたときひどく動揺しました。
それは七草が<悲観主義>を捨てたように、真辺が<理想主義>を捨てたことになるからです。
七草はそれをどうしても受け入れることができず、真辺を島の外に変えようと魔女と駆け引きをします。
ところで、階段島の支配者は、なぜ魔女なのでしょうか?
別に王様でもいいはずです。
その答えは、魔女も捨てたられた存在だからです。
中世ヨーロッパでは「魔女狩り」とよばれる迫害が起きました。
多くの魔女は、自分の中の魔女を捨てて、生き延びようとしました。
そして捨てられた魔女たちが魔法で階段島という自分たちの居場所を作ったのです。
僕は、島の外にいる真辺は、『青くて痛くて脆い』の秋好みたいに成長しているだろうと思いました。
社会を変えるために理想主義を捨て、現実主義になった秋吉に似ていると思ったのです。
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青くて痛くて脆い/住野よる_巻き戻せない痛みを抱えて人は強くなる
大学新入生の田端楓(たばたかえで)は、同級生の秋好寿乃(あきよしひさの)と出会います。人との調和を大切にする楓は、理想主義者であっけらかんとしている秋好を苦手としつつも、次第に心を許していきます。二人は『モアイ』という団体を作ります。活動理念は「なりたい自分になる」こと。しかし『モアイ』で二人が過ごす時間は長くは続かずーー。
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あとがき


