『首折り男のための協奏曲』(伊坂幸太郎)の読書感想文です。
短編集のような形でまとまっています。
ただそれぞれの話は、微妙に関係しており、そこが面白いところです。
※ほぼネタバレ無し
『首折り男のための協奏曲』(伊坂幸太郎)のあらすじ
「首折り男の周辺」
この物語は、殺し屋の「首折り男」を中心として「疑う夫婦」、「間違われた男」、「いじめられている少年」という3つの視点から、成り立っています。衝撃の結末はーー。
「濡れ衣の話」
3年前、丸岡直樹は、息子を事故で失いました。
そして、その事故で運転をしていた女性を殺害してしまいます。
その時に出会った刑事の正体と数奇な運命とはーー。
「僕の舟」
探偵・黒澤は、ある老婦人の過去の恋を追いかけました。
そこに待っていた運命のいたずらとはーー。
「人間らしく」
黒澤と小説家・窪田は、クワガタ飼育の話から「神の手」について言及しました。
黒澤、それといじめられている少年に振りかかる「神の手」とはーー。
「月曜日から逃げろ」
泥棒・黒澤と東京の制作プロダクションの男・久喜山との空き巣を題材とした対決の話。
だれが勝者になるのでしょうかーー。
「相談役の話」
山家清兵衛の現在における呪いとはーー。
「合コンの話」
幹事である井上が当日にドタキャン。
代打の佐藤が急遽、合コンに参戦。
真面目な佐藤の正体とはーー。
『首折り男のための協奏曲』(伊坂幸太郎)の書評/感想
この『首折り男のための協奏曲』では、主に2人の人物を中心に話が展開されます。
それが、殺し屋「首折り男」と探偵(泥棒)「黒澤」です。
首折り男の目線で書かれている文章はほとんどなく、それが黒澤との違いでもあります。
物語の主題は、「運命」です。
それぞれの話は独立して成り立っているように見えるのですが、意外なところでつながっていて、まさに協奏曲といったところでしょうか。
全体として、ストーリーがすごくしっかりしていて、面白さの評価は高いのですが、テーマ性は少しふわふわしている印象を受けました。
これが短編の難しさともいえるでしょう。
あとがき:『首折り男のための協奏曲』(伊坂幸太郎)
今回は、伊坂幸太郎さんの『首折り男のための協奏曲』について、感想を書きました。
「首折り男」というとてもミステリアスな登場人物がいるにも関わらず、それをほとんど間接的にしかストーリーに登場させないというのは非常に面白いと思います。
長編だけでなく短編もうまく感想かけるように精進します。