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▲ 【書評】『青年のための読書クラブ』(桜庭一樹)_独特の文体と世界観

2017年6月27日

『青年のための読書クラブ』(桜庭一樹/新潮文庫nex)の読書感想文です。文体が表紙から想像したものと大きく違っていたので、ちょっと驚きました。ストーリーは面白かったです。あらすじと感想・考察(ややネタバレ)を書きます。

『青年のための読書クラブ』のあらすじと感想・考察(ややネタバレ)

 100年の歴史を持つ名門女子高「聖マリアナ学園」にひっそりと存在する「読書倶楽部」には、はみ出し者たちが集い、思い思いに本を読んでいました。 伝統的な生徒会や演劇部とは対極にある「読書倶楽部」では、部員が学園に起きる様々な事件の真実を「読書クラブ誌」に書き記す慣習がありました。 この作品では5つの印象的な事件が、執筆者の視点から語られています。

ラウト文芸らしからぬ独特の文体

まず思ったことは、文体にちょっとクセがあるなということです。 例えば、

「愛に、愛に性別など関係あるのでしょうか。 シスター。 ぼくは思うのです。 姿かたちなど関係ない。 どちらの性に生まれたかなど関係ない。 心さえ崇高で、尊敬に値する人物であれば。 顔かたちなども関係がない。 なぜならば、なぜならば、シスター。 ぼくたちは限りなく精神的な存在なのです。 あぁ、ただここに、精神があるだけ」

など。ライト文芸でこの言い回しはあまりないなーと読みながら思いました。

ストーリーがよく練られていて面白い

ストーリーは、なかなか面白いです。 特に「第二章 聖女マリアナ消失事件」と「第4章 一番星」は、気に入りました。 前者は、学園の創設者である聖女マリアナの正体に迫るお話でした。 後者は、内気な少女がある日突然ロックスターのように振る舞うというお話です。 あと、作品の終わり方は非常に良かったと思います。 結局、部室があった赤煉瓦の建物は倒壊してしまいますが、彼女らが代々綴ってきた読書クラブ誌は、収まるところに収まりました。

読書倶楽部に入ってみたかった⋯⋯。

このブログを見ていただいている方は、きっと読書好きな方が多いと思います。 ですので、学生時代に秘密の「読書倶楽部」なるものが実在していたら、ぜひ入ってみたかった(実際はテニス部でしたが)という僕の気持ちも、わかってくださるような気がします。 やはり、なんだかんだ言って、思春期に読む文学は、とても重要ですよね。 僕の場合は、村上春樹さんに傾倒していて、考え方やキャリアなど、かなり影響を受けていたと思います。

 ですので、作品に出てくる「読書倶楽部」には、何となく親近感を持って、作品を読むことができたと思います。 ちょっとはみ出し者たちが集まるというところも共感します。 本が好きな人は、一般的に、内向的な人が多く、人間関係に苦労している率は高いと思います。 だからこそ、「本」という共通点を持った人たちとの繋がりは非常に強固なものになり、彼らが集まる場所には、必然的に居場所が形成されます。 そこは、きっと、居心地が良い場所なのだろうなと、少し憧れます。

本は僕たちに居場所を与えてくれる存在

 上で述べたように、本を読むということは、現実ではうまくやれない僕らに、居場所を与えてくれる役割があると思います。 この作品を読んで、そういった「本」の持つ力を再認識して、やっぱり、自分の人生に「本」はなくてはならないものなんだなあということを、実感しました。 僕も、もっと「本」を介して他者と繋がることを頑張ればいいんだと頭では思うのですが、いかんせん内向的なもので(苦笑) まあ、ぼちぼち頑張りたいと思います。

『青年のための読書クラブ』はこんな人におすすめ

  • ちょっと古風な言い回しが好きな人
  • 本が好き!読書倶楽部ってなあに?って人
  • 少し独特なストーリーを読んでみたい人

あとがき:青年のための読書クラブ

『青年のための読書クラブ』(桜庭一樹/新潮文庫nex)の読書感想文でした。
文体にちょっとクセがあることを除けば、面白い本だったと思います。 ただ、ちょっと、想像していたお話とは趣向が違ったこともあり、評価は低めです。でも、本好きな方は、ぜひ手にとって欲しい作品だな、と思いました。

♦︎桜庭 一樹(さくらば かずき)
1971年、鳥取県米子市出身。
鳥取大学卒業。女性。

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