純文学

『窓の魚』(西加奈子)_幻想に翻弄され「死神」の声は聞こえない

モロケン
『窓の魚』(西加奈子)の読書感想文です〜

この作品は評価がかなり分かれるみたいだね…。
サブカル

モロケン
うん。僕はけっこう好きだけどな〜。そのあたりも書くね!

『窓の魚』-あらすじ

あらすじ

「カップル2組が温泉旅行に行きある事件が起きる」というよくある設定だが、登場人物4人が曲者。作品は4人それぞれを主観にして順番に進行する。彼らが抱える心の暗部がパズルのピースを合わせるように徐々に組み合わさっていく展開は秀逸。

※ここからややネタバレします

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『窓の魚』-感想・書評

モロケン
『窓の魚』の感想文を書きます。ネタバレが嫌だよって人はコチラまで、進んでね!

窓の魚は「謎解き」ではなく「余韻」を楽しむ作品

窓の魚を読んだ人のほとんどは「え、これで終わり?」ってなると思います。

なぜなら与えられたヒントだけでは女性が池で死んだ事件の真相が一切解決できないからです。

ミステリーやサスペンスを読むことが多い人は、きっともやもやしたことでしょう。

しかし僕は「窓の魚」は謎解きではなく余韻を楽しむ作品だと考えています。

だから謎は謎のままでいいんです。

もちろんいろいろ推測することはできますので、自分なりの結論があればそれでいいと思います。

ただ、作品を立体的にしている物語の構成や巧みな心理描写は本当に見事です。

僕の好きな作家である中村文則さんの作品に雰囲気が似ているなと思ったら、解説が本人でした(笑)

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姿が見えない猫は死神の象徴

登場人物全員が猫の鳴き声を聞きますが誰も姿を見つけることはできません。

この「見えない」ところがポイントだと思いました。

登場人物はそれぞれ幻想に翻弄されているからです。

具体的には、

  • ナツ⇒のっぺらぼうの男
  • トウヤマ⇒電話ごしの(年配の)女性
  • ハルナ⇒昔の自分自身
  • アキオ⇒生まれてすぐに死んだ弟

です。

作中の姿がない猫は「幻想」と「死相」をもたらす死神だと思いました。

このあたりニュアンスがきめ細かく、情緒的でセンチメンタルな気分になりました。

他人の心情を推しはかることは難しい

しばしば僕たちは「ああ、アイツはこういう人だから」と、簡単に誰かの内面をカテゴライズしてしまいます。

しかし『窓の魚』を読めばわかるように、他人の心情を推しはかることは難しいです。

お互いが恋人同士であっても認識のズレがあるのですから。

だから他人を何かに当てはめてしまうことはとても危険なのです。

どんなに親しい間柄でもお互いを100%理解することはできません。

これは寂しくもあり、だからこそ楽しいともいえます。

理解できないことを知りつつも理解しようと努めること。

それはとても大切なことだと思います。

『窓の魚』はこんな人におすすめ!

サブカル
人間の内面に深く切り込んだ作品を読みたい

一風変わった情緒あふれる物語を読みたい
パリピ

文学青年
読み終わった後に自分なりの解釈ができる小説を読みたい

あとがき

モロケン
『窓の魚』(西加奈子)の読書感想文でした〜!

無理に謎解きをする必要はないんだね。
パリピ

モロケン
うん、作品の雰囲気を楽しむ読み方をするといいと思うよ!

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