本谷有希子

▲ 『ぬるい毒』

投稿日:2017年3月31日 更新日:

はじめに

 今回は、本谷有希子さんの作品である『ぬるい毒』(2014 新潮文庫)について感想を書きたいと思います。

 ’16年芥川受賞作家の作品であること、以前に読んだ「嵐のピクニック」とう作品が非常に面白かったこと、からこの作品を読んでみたいと思いました。

 題名からきっとドロドロした恋愛に関する話なんだろうなあと思ったんですが、その予想はまあまあ当たっていました笑

『ぬるい毒』

あらすじ

 あの夜、同級生と思しき見知らぬ男の電話を受けた時から、私の戦いは始まった。

 魅力の塊のような彼は、説得力漲る嘘をつき、愉しげに人の感情を弄ぶ。

 自意識をずたずたにされながらも、私はやがて彼と関係を持つ。

 恋愛に夢中なただの女だと誤解させ続けるために。

 最後の最後に、私が彼を欺くその日まで—。

 一人の女の子の、十九歳から五年にわたる奇妙な闘争の物語。渾身の異色作。(巻末より)

感想

 主人公の熊田はサディストの向伊に対して、惹きつけられていく思いを抱かずにはいられませんが、物語が進行して、向伊がどういう人間で、どういう手口を使って、他人を貶めるのかを見ているうちに、徐々に恋愛感情ではなく、別の感情を持つようになります。

 それは、闘争心と呼ぶべきものです。

 騙してるつもりが騙されている。

 向伊に対して、そういう状況を作りたくて、彼女として、地方から、上京します。

 
 僕がこの作品を読んでいて一番気になっているのは、どうして熊田は、向伊と関係を持ちたがるのだろうということでした。

 騙し騙されのゲームは、向伊にとって、遊び感覚なのに、熊田がわざわざそのゲームの土俵に上がってまで、勝利しようとするモチベーションがわかりませんでした。

 強いていえば劣等感なのでしょうか。

 熊田はいわゆる大学(短大?)デビューで、綺麗になったのですが、自分に自信を持てない様子。

 向伊とその取り巻きはそれを知ってか知らずか、熊田が綺麗になったことを繰り返し述べます。

 熊田にとって、向伊とのゲームは、過去の自分、自分の劣等感との戦いなのかもしれませんね。

 僕は向伊のような純粋なサディストと遭遇したことはないので、なんとも言えませんが、熊田のように、相手の土俵に立つことは避けることが懸命かと思います。

 自分と合わない人がいたら、関わらなければいいわけで…とかいうと、僕の内向性が発揮されちゃってる感ですね。

 うん、とにかくそんなに頑張れません。

まとめ

  • サディストとの戦いは、自身の劣等感との戦いでした
  • サディストと同じ土俵にのらないことが重要なのでは?

あとがき

 今回は、本谷有希子さんの作品である『ぬるい毒』について、感想を書きました。

 ストーリーは良く出来ていて、作者の想像力の豊かさが感じられました。

 今かなりアツい作家さんだと思うので、読んでおいて、損はないと思いますよ^^

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