
モロケン
『寝ても覚めても』(柴崎友香)の読書感想文です!
野間文芸新人賞の受賞作品なんだよね?

サブカル

モロケン
うん、すごく文学性がにじみ出ている名著だよ!
『寝ても覚めても』(柴崎友香)のあらすじ
あらすじ
不思議な雰囲気をまとう青年・鳥居麦に出会いたちまち恋に落ちた朝子。しかし麦はある日、朝子の前から姿を消してしまう。それから幾年が経ち東京に引っ越した朝子の前には、麦にそっくりの亮平と出会う。二人の性格は似て非なるものだが、朝子は亮平と付き合うことに。目の前の亮平を好きだと思う一方、麦への気持ちも捨てきることができずに、日々を過ごしていた朝子に急展開が押し寄せる。甘くもあり苦くもある十年の恋を描く良作。
『寝ても覚めても』(柴崎友香)の感想・書評
恋愛というのは不思議なものだと本作を読んでつくづく思います。
一瞬で恋に落ちて10年も思い続けたにもかかわらず唐突に恋が冷める。
そんなことがあるんだな、と。
本作には「カメラ」がよく登場しますよね。
僕はこの作品を読んでいて常にカメラのピントが合っていない感覚を持ちながらページを捲っていました。
おそらくこの見方は正しくて、朝子の麦への恋心もこれと同じように霧がかかっていたのではないかと思うのです。
それを表現するために本作では、視覚的な表現が上手に散りばめられています。
描写力をもって作品全体の雰囲気を形作るのは、とても難しいことだと思います。
柴崎友香は『寝ても覚めても』を通じて、それを確かに達成しているのです。
僕が「好きだな」と思った箇所。
こういう話し方が好き、と思った。境目のくっきりした黒い瞳がどこを見ているのか、はっきりとわかる。初めて会ったときに聞いたのとまったく同じ低い声が、まずわたしの頭の中で響いてから、ゆっくりと外へと遠くまで広がっていく感じがする。全部好き、と思ったら、わたしの目から涙がどぼどぼ出た。わたしの足は麦の肩を蹴って倒した。転がった麦の背中も蹴った。蹴ったわたしの足を麦が引っ張って、片足になったわたしは滑って畳に転がった。転がったわたしを、麦は抱きしめた。
こういうのが恋愛だと思うんです。
本作は、ラスト30ページで朝子のエゴイズムが発揮されていくさまがよく話題になりますが、僕はこのシーンが作品のピークだったのではないかと捉えました。
こんな恋愛にこれから先、僕(筆者)は出会えるかな…(苦笑)
『寝ても覚めても』はこんな人におすすめ!

サブカル
透明感のある恋愛ストーリーの世界に浸りたい
江國香織作品のような世界観が好き。

文学青年

パリピ
失恋して必ずしもハッピーエンドじゃない恋愛小説を読みたい。
リンク
まとめ:『寝ても覚めても』(柴崎友香)

モロケン
すごく衝撃的な作品で恋愛小説としては自分的ベスト5に入るかも…
また5年くらい歳ををとったときに読み返してみたいね

パリピ

モロケン
そうだね〜。では、ここまでご覧いただきありがとうございました!
まとめ
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