西加奈子

★ 『i(アイ)』

投稿日:2017年4月30日 更新日:

はじめに

 「この世界にアイは存在しません」

 今回、感想を書くのは、西加奈子さんで2017年本屋大賞ノミネート作品『i(アイ)』(ポプラ社、2016年)です。

 装画も西さんがやっているんですねー!

 本も書けて、絵もかけるなんて羨ましい。

 大好きな西さんの作品ということで、読み始める時はすごくドキドキしました。

 そして、読み始めると流れるようにページを捲り、一気に読破しました。

『i(アイ)』(2016)

あらすじ

 ワイルド曽田アイ、この物語の主人公。

 シリアから養子として、裕福な、米国人と日本人の夫婦の元へやってきました。

 ある日、ニューヨークから、日本に住むことになります。

 中学・高校で、同級生と風貌の違うアイは、孤立していましたが、ミナと出会い友達になります。

 アイは、どうして、自分は恵まれているのか、どうして、悲しい出来事の当事者は、自分ではないのか、常に自問し、苦しみます。

 繊細な少女から強い女性へ成長しようともがくアイ。

 自身の存在の肯定をとことん問い詰めた名作です。

感想

 最初に言っておきます。号泣しました笑

 「この世界にアイは存在しません。」高校の数学教師の言葉にびっくりするアイ。

 シリアからの養子という身の上から、自身の存在の肯定を常に疑って生きてきました。

 どうして、自分は選ばれたのか。

 どうして、自分は世界中の悲劇の外にいるのか。

 繊細で聡明なアイは、それらにどう向き合えばいいのか、わからずに、苦しみます。

 
 皆さんは、世界中で起こっている悲劇に対して、どこまで、身近に考えることができますか。

 僕は、大学生の頃にカンボジアの孤児院でボランティアをしたことがあります。

 そして、東南アジアを何カ国かまわり、経済的に恵まれない、子どもたちをたくさん目にしてきました。

 その経験を踏まえて、先ほどの質問に答えると、自分が関わったところだけ、身近に考えることができます。

 だからこそ、今、中東で起こっている内戦などには、どうしても具体的に想像することができないのです。

 
 アイは大学で、数学科に入り、内向性を強めますが、僕も同様に世界に対して内向的です。

 ほとんどニュースを見ることもないです。

 世界中で悲劇が起こっていても、それに胸を痛めることはないです。

 起こったことを知らないので。

 でも、なぜだろう、この本を読んだら、世界中の人々の悲しみに寄り添うことがとても自然に思えたんです。

 きっとすぐには変わらないかもしれない、でも、少しずつ、能動的に情報を集めて、自分にできることを見つけられたらいいと思いました。

 この本を読んだら、きっと、そういう気持ちになる人は多いんじゃないかな。

 
 この話では、登場人物の感情が、怒涛のように、本の中から飛び出してくるみたいで、僕はその波にのみこまれるみたくなって、気づいたら泣いていました。

 こういう気持ちになるのは、今回が初めてじゃないです。

 西さんの、他の作品を読んでいる時にも、同じような感じを受けました。

 彼女の本を読む時はお気をつけください。とにかくエネルギーがすごくて、もってかれます。

 
 最後に、この本で僕が一番名言だと思った言葉を引用します。

「会いたいという気持ちと、理解出来ない気持ちのふたつがあるなら、僕は会いたいという気持ちを優先するべきだと思う。」

 ああ、なんて、成熟したアドバイスでしょう。

 誰のセリフかは皆さんがこの本を読んで、確かめてみてくださいね!

 僕も、こんなことをさらっと言ってみたいものです。

まとめ

  • 登場人物の持つエネルギーと圧倒的な存在感
  • 世界中の悲しみにただ寄り添いたいと思った

あとがき

 今回は西加奈子さんの『i(アイ)』(2016)について、感想を書きました。

 この本を読んでいたら、ずいぶん前に読んだ『サラバ!』を読み直したくなりました。

 どちらも優劣つけづらい名著なので、ぜひぜひ読んでみてくださいね〜!

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