西加奈子

● 『白いしるし』

投稿日:2017年4月2日 更新日:

はじめに

 今回は西加奈子さんの作品『白いしるし』(2013 新潮文庫)について、感想を書きたいと思います。

 西加奈子さんの作品はいくつか読んでいて、どの作品もとても面白く、そして力強いところが最大の魅力だなと思っています。

 この話は、完全に恋愛小説だけれども、他の作品では扱っているテーマが異なっていたりして、西さんの作風の幅広さがうかがえます。

『白いしるし』

あらすじ

 女32歳、独身。

誰かにのめりこんで傷つくことを恐れ、恋を遠ざけていた夏目。

間島の絵を一目見た瞬間、心は波立ち、持っていかれてしまう。

走り出した恋に夢中の夏目と裏腹に、けして彼女だけのものにならない間島。

触れるたび、募る想いに痛みは増して、夏目は笑えなくなった—。

恋の終わりを知ることは、人を強くしてくれるだろうか?

ひりつく記憶が身体を貫く、超全身恋愛小説。

感想

 この作品はだいぶ前に読んだことがあって、再読という形で読了しました。

 読みやすさは相変わらず、すごくあって、一気に読み終えることができます。

 この本のテーマは一言で言うならば「狂おしいほどの恋愛」だと思います。

 夏目も塚本というキャラクタも壊れてしまうくらい自分のものにはなってくれない男性に恋をします。

 その時の辛さ、苦しさをあらわす表現力の豊かさが、この作品の力強さとなっています。
 

 恋愛感情を持つと、浮き足立つと同時に不安や恐怖を感じることがあります。

 夏目が恋愛に傷つき、次の恋愛に億劫になっていたのもまさにそういう状況を理解していたからでした。

 しかし、そんな夏目を一気に奪い去るように間島は(無意識的に)恋愛に没頭させるのでした。

 僕も、「楽しいと終わりのこと考えちゃうから寂しい」と思うことが多々あります。

 そして、そんな風に感じるのなら楽しくないほうがいい、そう思うこともありますが、やっぱり楽しいことへの魅力は、そんな小さな決意を吹き飛ばしてしまいますね。

 
 恋愛を重ねると人は強くなるのでしょうか?

 僕はそうは思いません。

 始まって、傷ついて、始まって、傷ついて…ずっと、こんなこと繰り替えしてるとやはり臆病になっちゃいます。不安です。

 ただ、稀に本書で描かれていたような「狂おしいほどの恋愛」に対する欲望が生まれることがあります。

 それは、自分じゃどうすることもできません。

 気づいたら没頭してしまっているのです。

 苦しくても、それから逃れることなんて、できやしない。

 そんな恋愛をしていた夏目にはとても親しみを覚えました。

まとめ

  • 狂おしいほどの恋愛をこれでもかと表現している
  • 文章の読みやすさは西加奈子さんの魅力の一つ

あとがき

 今回は、西加奈子さんの作品である『白いしるし』に関する記事を書きました。井の頭公園とか出て来るので、舞台は吉祥寺なんですかね?吉祥寺は昔住んでいたことがあって、とても思い入れのある土地です。読了しやすい作品ですので、西加奈子さんにご興味がある方はぜひぜひ^^

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