日常・青春・恋愛

● [書評]狂おしい恋愛を描く『白いしるし』(西加奈子)の魅力に迫る

モロケン

未経験からフリーライターとして独立、起業。日給500円から始めて今では1記事5万円も珍しくない。いつまでも純粋さを大切にしたい。

『白いしるし』(西加奈子)の読書感想文です。西加奈子の作品の特徴は、力強さです。『白いしるし』は、恋愛小説ですが、一筋縄ではいかない作品です。あらすじと感想・考察(ややネタバレ)を書きます。

『白いしるし』(西加奈子)のあらすじ

女32歳、独身。誰かにのめりこんで傷つくことを恐れ、恋を遠ざけていた夏目。間島の絵を一目見た瞬間、心は波立ち、持っていかれてしまう。走り出した恋に夢中の夏目と裏腹に、けして彼女だけのものにならない間島。触れるたび、募る想いに痛みは増して、夏目は笑えなくなった—。恋の終わりを知ることは、人を強くしてくれるだろうか?ひりつく記憶が身体を貫く、超全身恋愛小説。

『白いしるし』(西加奈子)の感想と考察(ややネタバレ)

『白いしるし』の感想と考察を書きます。ネタバレが嫌だよって人はコチラまで、進んでください。

 この作品はだいぶ前に読んだことがあって、再読という形で読了しました。

 読みやすさは相変わらず、すごくあって、一気に読み終えることができます。

 この本のテーマは一言で言うならば「狂おしいほどの恋愛」だと思います。

 夏目も塚本というキャラクタも壊れてしまうくらい自分のものにはなってくれない男性に恋をします。

 その時の辛さ、苦しさをあらわす表現力の豊かさが、この作品の力強さとなっています。
 

 恋愛感情を持つと、浮き足立つと同時に不安や恐怖を感じることがあります。

 夏目が恋愛に傷つき、次の恋愛に億劫になっていたのもまさにそういう状況を理解していたからでした。

 しかし、そんな夏目を一気に奪い去るように間島は(無意識的に)恋愛に没頭させるのでした。

 筆者も、「楽しいと終わりのこと考えちゃうから寂しい」と思うことが多々あります。

 そして、そんな風に感じるのなら楽しくないほうがいい、そう思うこともありますが、やっぱり楽しいことへの魅力は、そんな小さな決意を吹き飛ばしてしまいますね。

 
「 恋愛を重ねると人は強くなるのでしょうか?

 筆者は、そう思いません。

 始まって、傷ついて、始まって、傷ついて⋯⋯ずっと、こんなこと繰り替えしてるとやはり臆病になっちゃいます。不安です。

 ただ、稀に本書で描かれていたような「狂おしいほどの恋愛」に対する欲望が生まれることがあります。

 それは、自分じゃどうすることもできません。

 気づいたら没頭してしまっているのです。

 苦しくても、それから逃れることなんて、できやしない。

 そんな恋愛をしていた夏目にはとても親しみを覚えました。

評価:『白いしるし』はこんな人におすすめ!

評価

モロケン
狂おしいほどの恋愛をしてみたい!

新しく恋愛するのが不安⋯。
文学青年

サブカル
吉祥寺が好きでよく行く。

あとがき:『白いしるし』(西加奈子)

今回は、西加奈子の作品である『白いしるし』に関する記事を書きました。井の頭公園とか出て来るので、舞台は吉祥寺なんですかね?吉祥寺は昔住んでいたことがあって、とても思い入れのある土地です。読了しやすい作品ですので、西加奈子の作品にご興味がある方はぜひ。

♦︎西 加奈子(にし かなこ)
1977年イラン、テヘラン生まれ。エジプト、大阪府堺市育ち。
関西大学法学部卒業。
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モロケン

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