沖田円

■ 『僕は何度でも、きみに初めての恋をする』

投稿日:2017年4月15日 更新日:

はじめに

 今回は、沖田円さんの『僕は何度でも、きみに初めての恋をする』(2015年、スターツ出版)について感想を書きたいと思います。

 この本を読もうと思ったきっかけは、ジャケ買いですねw

 僕は本でもCDでも映画でもけっこうジャケ買いすることが多くて、てきとーだなあとか自分で思いつつも、やっぱりジャケットは作品の雰囲気を表しているものが多くて、これが意外に役に立つんですよ^^

 この本は、スターツ出版の本は全般的にそうですが、ゆるふわイラストで書かれていて、きっとちょっと対象年齢もう少し低いだろうなあと思いつつも買ってみました笑

『僕は何度でも、きみに初めての恋をする』(2015)

あらすじ

 両親の不仲に思いやなむ高校生のセイは、ある日、カメラを持った不思議な少年、ハナに出会います。

 ハナの記憶は1日しか持ちません。

 セイはそのことを知りつつも、はじめはハナのマイペースに翻弄されていましたが、次第に、ハナとの距離を縮めていき、恋心を抱きます。

 別々の問題を持った2人は、どうやってそれらに立ち向かっていくのでしょう。

 その結末とは—。

 涙を流さずにはいられません。

感想

 「ハナの記憶は一日しか持たない」。

 そのような設定を取り上げたのは、この作品が最初ではないし、それ自体に目新しさがあるとは言えません。

 それでは、何が、この作品を魅力的にしているのでしょう。僕はそれは優しさが作品に溢れていることであると思います。

 
 セイの両親は不仲です。

 昔はそうではなかったようですが、今は顔を合わすたびに大きな声を出して口論をします。

 セイは一人で布団に入り、耳を閉ざします。

 「わたしは二人にとって必要ではないんだ」。

 そんな気持ちをもったセイは絶望し、ここではないどこかに行きたいと願います。

 そんな時、手を差し出してくれたのがハナでした。

 ハナが見ている世界はとても綺麗です。

 記憶が一日しか持たないからこそ、今、その瞬間を、全力で味わい、それをカメラで保存します。

 そんなハナにセイはどんどん惹かれていき、現状を打開しようともがきます。

 そこまで、セイを導いてくれたのはハナの優しさでした。
 

 「引き上げた先の景色が綺麗かどうかは僕にはわからないけれど、きみのいる世界だもん、きっとどんな場所より綺麗に決まってるはずなんだ。

 ねえ、セイちゃん」

 
 思い悩んでいたのは、セイだけではありませんでした。

 ハナもセイに出会ったことで、大切なものを病気のせいで失いたくない。

 そんな恐怖を持ってしまいます。

 そして、それを救ったのはセイの優しさです。

 「きみがくれたものすべてが、わたしにとっての宝物だよ。

 ハナ、きみのことも」

 「だから怖がらなくていいよ。

 ハナの世界からわたしがいなくなっても、また、何度でも、わたしがハナを見つける。

 これからもずっと、わたしはきみといる」

 正直、僕はけっこう泣き虫です

 映画とか観るとよく泣いています。

 でも、本を読んでいて泣くっていうことはないだろうと思っていました。

 しかし、この本からにじみ出る優しさが僕の手から頭へとのぼっていき、気づいたら涙目になっていました笑

 それくらい、この本の優しさは、力を持っています

 テーマやストーリーはありきたりかもしれないけど、それを構成している細部、その積み重ねとしての集積が、この作品を固有のものにしているのではないでしょうか。

あとがき

 今回は、沖田円さんの作品『僕は何度でも、きみに初めての恋をする』について感想を書きました。

 これまでの文章を読んで、この本の温かい優しさが少しでもあなたに伝わっていれば、幸いです。

 ストーリーはとても読みやすいので、一瞬で読めちゃうと思います。

 ぜひぜひ読んでみてくださいー!!

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