詩歌

【詩集】夜空はいつでも最高密度の青色だ/最果タヒ_都会を好きになった瞬間、自殺したようなものだよ【解釈】

2017年5月24日

詩人・最果タヒの第四詩集『夜空はいつでも最高密度の青色だ』について紹介するよ!

最果タヒの「詩集三部作」の第二作目で、2017年石井裕也監督により映画化もされています。

最果タヒ 詩集三部作

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『夜空はいつでも最高密度の青色だ』で心に残った10編の感想

ここでは、『夜空はいつでも最高密度の青色だ』でいいなと思った詩の一部を引用して、感想を述べます。

①青色の詩

都会を好きになった瞬間、自殺したようなものだよ

引用p7より

『夜空はいつでも最高密度の青色だ』を開いて、最初に目に飛び込む一文。

これをみる読者は、『夜空はいつでも最高密度の青色だ』は、すごい詩集かもしれないとドキッとします。

作品の特徴を端的に表現するような、天才的な言葉の置き方だと思います。

②朝

私の好きなものは夜のうちに滅んでおいて

引用p8より

『夜空はいつでも最高密度の青色だ』は最果タヒの第四詩集ですが、デビュー作のグッドモーニング空が分裂するのように、言葉のセンスに身を委ねている印象が強いです。

したがって、詩の解釈を一筋にすることは難しいです。

ただ、読者の想像力によって、解釈はさまざまであり、最果タヒもそれでいいと認めています。

③ゆめかわいいは死後の色

ゆめかわいいは、死後みたいな、色。

引用p10より

ゆめかわいいって一時期よく耳にしましたね。

調べてみると、「パステルカラー、セーラー服、魔法少女、いちごみるく等のモチーフが使われた夢のようにかわいいもの」を指すようです。

それを、「死後の色」と表現する背景には、最果タヒ独自の見方があるんだろうなと思います。

④月面の歌

私のこと嫌いでもいいよって言えなくちゃ、やさしい人にはなれません

引用p15より

本当にやさしい人は、自分が恨まれても相手のためになることをします。

みんなにいい顔をしてれば、みんなに愛されるかもしれません。

でも、誰かが相談してきても無難な回答をしたり、親身に相談にのってる自分に満足したり⋯。

やさしい人になりたいですね。

⑤水野しずの詩

潔癖なひとたちが作った街は、えぐいカラフルとファンタジーがまざりあって、朝でも昼でも夜みたいだ

引用p16より

「潔癖なひとたち」という表現が、いかにも自分たちとは違うというニュアンスを含んでいますね。

でも、それを「えぐい」といいつつも、否定的に捉えてはいません。

「街」を最果タヒが鳥瞰的にみていて、それでも「悪くないな」という余韻を感じます。

⑥やぶれかぶれ

とりとめもなく突然に、恋をすることはロマンチックで、だから突然、誰かを憎むこと、それもポエジーだって言いたい。

引用p23より

恋をすること、憎むこと、どちらも誰かに対する強い感情です。

両者は、対比しているので、切っては切れない関係にあります

よって、どちらかだけポエジーじゃないということは、許されないのです。

ロマンチックだけ強調するのは、不自然ですよね。

⑦かわいい平凡

きみが孤独なふりをするあいだ、ぼくはきみと友達でいる

引用p30より

孤独なふりをしている人は、きっと寂しい気持ちを抱えています。

そして、寂しさを表現しようとすると虚しさに襲われることもあります。

そんな人を丸ごとつつんで友達でいるといってくれるのは、とても優しいことだと思いました。

「かわいい平凡」というタイトルがぴったりです。

⑧渋谷の詩

ここは渋谷 きみのこと嫌いになってあげようかって言えるぐらいかわいくなきゃ殺される場所 夢の街

引用p49より

「渋谷の詩」をみて、渋谷に来たことがない人は、きっと渋谷に恐怖しますね(笑)

でも男の子の渋谷と女の子の渋谷は、意味合いが随分と異なると思います。

渋谷の面白いところは、性別だけではなく地位や年齢、人種など、さまざまな異なる人が集まっていることです。

少なくとも女の子にとっては、物騒な街のようです。

⑨春の匂い

いじめをしたことのある人しかいない店で食べたパンケーキが、私の最後の青春だったかもしれない

引用p60より

これすっごいよくわかります。

あくまで想像ですけど、最果タヒもきっと学生の頃は、陰キャよりだったと思うんです。

でも陰キャがリア充っぽいことをしないわけではなくて、たまに機会があったりします。

それらを端的に述べたのが、「春の匂い」という詩のように感じます。

絶妙ですね。

⑩4月の詩

きみが好き、花見にいって、ばかな顔で、見上げてお酒を飲んでいたいな

引用p70より

研ぎ澄まされた言葉で社会を削り取る勢いだった『夜空はいつでも最高密度の青色だ』。

そんな中に見つけた素朴で幸せな詩が「4月の詩」でした。

これだけみると、普通のことをいってるだけじゃないかと思うかもしれません。

しかし、表現の力を高めるためには、緩急が必要です。

イントロは静かなのにサビで爆発するロックみたいなものです。

最果タヒの詩人としての力量を感じます。

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『夜空はいつでも最高密度の青色だ』の解釈

ここでは、『夜空はいつでも最高密度の青色だ』を解釈してみるよ!

最果タヒの詩集は、解釈がとても難しいです。

ただ全作品のあとがきにおいて、いつも考えるヒントを教えてくれます。

レンズのような詩が書きたい。 その人自身の中にある感情や、物語を少しだけ違う色に、見せるような、そういうものが書きたい。・・・私の詩を少しでも好きだと思ってもらえたなら、それは決して私の言葉の力ではなくて、最初からあなたの中にあった何かの力。私の作品じゃなくても、ふとみた景色や鳥のさえずりや、好きな歌、それらにふっと顔がほころぶ日があったなら、それはきっとあなたの中の何かが響いて、すべてを眩しく見せているんだろう。世界が美しく見えるのは、あなたが美しいからだ。そう、断言できる人間でいたい。

引用あとがきより

上の文章を読んで、最果タヒの詩に対するスタンスを少し理解しました。

外発的刺激 < 内発的共鳴 → 感情の変化

外発的刺激ではなく、内発的共鳴によって、読者の感情に変化を与えることが、最果タヒの作品の意図なのではないでしょうか。

わかりやすくいうと、僕たちの中にある小さな種に水(詩)を与えてくれることによって、種が芽となり花となるということ。

表現者は、考えをどうしても人々に押しつけてしまいがちです。

これに対して、最果タヒは、一人一人に寄り添って、話を聞いてくれる。

これはある意味、詩集を通じて著者と読者が対話をする、ことかもしれません。

『夜空はいつでも最高密度の青色だ』はこんな人におすすめ!

映画を観に行ったけど、面白かった。原作を読みたい!

「夜空はいつでも最高密度の青色だ」というタイトルに直感でピンときた!

記事を読んでいて、心にグッとくる表現がたくさんあった。他の詩も読んでみたい⋯。

⇒全詩集おすすめランキングはこちら

あとがき:夜空はいつでも最高密度の青色だ

最果タヒの第四詩集『夜空はいつでも最高密度の青色だ』でした〜!映画も本当に面白いので、ぜひ!
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