第23回「電撃小説大賞」受賞作・『君は月夜に光り輝く』(佐野徹夜)の読書感想文です。
ストーリー自体はよく青春小説にありがちなパターンです。
でも、情景描写が上手く気が付くと引き込まれるように、読破してしまいます。
作品を読んで、感じたことを書きます。
『君は月夜に光輝く』のあらすじ
あらすじ
『君は月夜に光輝く』のココが読みどころ!
ココが読みどころ!
- 「発光病」というアイディアがどうストーリーに生きていくか
- デビュー作とは思えない巧みな情景描写の数々
- 主人公・卓也はまみずとの出会いを経てどう変化したか
『君は月夜に光輝く』の感想文

「私がいつか、絶対来ないでって言っても、会いに来てくれる?」
『君は月夜に光輝く』は、とても読みやすく、普段小説を読まない人にも向いています。
物語の肝となるのは、まみずが患う「発光病」で、余命がわずかというところです。
発効病が本当に実在するのか気になる人も多いかと思います。
しかし、発効病は実在しません。
ただ豆知識ですが、ホタルエビが同様の症状を抱える場合があるようです。
「発光病」は、月の明かりを浴びると体が淡く光るという病気です。
とてもロマンチックな病気ですね。
主人公・卓也は、まみずの体が月明かりで光るのを見ることになるのでしょう。
そして、淡く光るまみずをきっと美しいと思うはずです。
それまで、まみずの死ぬまでにやりたいことリストを実行・報告し続けます。
足繁く通う卓也とまみずの関係が、どのように変化していくかにも注目です。
一つ、作品に物足りなさを覚えたのは、登場人物の心情が想像しにくいことでした。
例えば、卓也の友人であり恩人でもある香山がどのような人間だったか明らかになりません。
心情がイメージしにくいと共感もしづらいので、少しマイナスポイントかな、と。
さて、いろいろ書きましたが、デビュー作であるにもかかわらず物語の構成はすごくよくできていて、今後に期待したい作家だと思いました。
『君は月夜に光輝く』はこんな人におすすめ!



あとがき:君は月夜に光輝く
『君は月夜に光り輝く』(佐野徹夜)の読書感想文でした。
読み終わった後、清々しい気持ちになれる本です。
根強い人気があることにも肯けます。