詩歌

●【詩集】『死んでしまう系のぼくらに』(最果タヒ)_言葉は想像以上に自由で、不自由な人のためにある【解釈】

2020年1月30日

詩集『死んでしまう系のぼくらに』(最果タヒ)の感想と解釈をするよ!

第33回「現代詩花椿賞」を受賞したんだよね?詩人として完全に地位を確立しているよね

うん!あと、『死んでしまう系のぼくらに』は、最果タヒの「詩集三部作」の1つ目としても知られているんだ!じゃあ、記事をみていこう〜!

最果タヒ 詩集三部作

※リンクを押すとレビュー記事にとびます

ーsponsoredー

『死んでしまう系のぼくらに』心に残った5つの詩

ここでは、『死んでしまう系のぼくらに』の44篇の中から、心に残った5つの詩の一部を抜粋して、感想を書きます。

夢やうつつ

どこかでラッパの音がする。きみのほほに風がたどりつく。そのとき、どこにもいない、知らないわたしのことを、ぎゅっとだきしめたくなるような、そんな心地に一生なって。

引用p8より一部抜粋

世界は広いです。

学校や会社にいると、僕たちは世界の広さをたびたび忘れます。

紛争や飢餓、賄賂や差別。

世界中にいる人たちのことを一日何回、想像するでしょうか?

でも、ラッパの音やするどい風が世界を吹き抜けたとき、遠くの人に思いを馳せる瞬間があります。

そして、優しい気持ちになるかもしれませんね。

ライブハウスの詩

きみがいれば、
ぼくなどいなくても変わらない、そのことが好きです。
きみが好きです。

引用p15より一部抜粋

好きな人がいます。

僕が好きな人は、僕が好きではありません。

でも、僕がいなくても変わらずにいてくれるなら。

きみがきみでいてくれるなら。

僕は、満足です。

そんな思いをこの詩から受け取りました。

線香の詩

精神の健康なんてどこにもないよって知っているのは私だけ
悲しいことを泣き叫ぶ以外の方法を
もっている生き物に生まれたかった

引用p23より一部抜粋

生まれた時から世界に馴染めず、発狂しそうになりながら学校や会社に通って、死にかけてきました。

最果タヒは、きっと個性的な子供で、苦しんできたのでしょう。

誰かを理解できるというほど、もう若くはないけれど、共感しました。

少なくとも僕も、そっち側です。

わたしのこと

なにが恋なのかなんて誰もわかってないのに、また誰かが誰かに説教している。異常だねって、雨の中できみが笑って、羨ましい気がしたとき私はそれになにも名前をつけたくなかった。

引用p66より一部抜粋

説教する人は嫌いです。

正しいことなんてないです。

とくに、恋に関しては、なおさらです。

異常だねって、いう人がまわりにいるなら、その刹那をどこかに閉じ込めるのは、野暮ですね。

凡庸の恋人

たいせつな夢を見た。星がおちてきて、村を焼いている。そのすがたは都会から見ると美しくてたくさんのひとが、絵にかいたらしい。それはすばらしい作品だったらしい。きみはおびえた。光の落下に。わたしは撫でた。きみの頬を。きみは凡庸。凡庸は死ね。とても大切なゆめをきみだけに話すよ。明日、遠い町にひっこしをしよう。

引用p80より一部抜粋

TVは、犯罪や戦争の話ばかりしています。

人々にとって、それはエンターテインメント

当たり前に受け止めているけれど、怖いです。

凡庸なことをいう僕をどこかに連れ出してください。

『死んでしまう系のぼくらに』の解釈

ここでは、『死んでしまう系のぼくらに』の解釈をするよ!

あとがきにすごく大切なことが書いてありました。

踊れなくても、歌えなくても、絵が描けなくても、そのまま、ありのまま、伝えられる感情がある。言葉が想像以上に自由で、そして不自由なひとのためにあることを伝えたかった。私の言葉なんて、知らなくていいから、あなたの言葉があなたの中にあることを、知ってほしかった。

引用p95より一部抜粋

踊ることも、歌うことも、絵を描くことも、自分の内面を表現する手段として、一般的に確立しています。

しかし表現手段としては、一部の人に限られた方法です(必ずしもではないけれど)。

これは、みなさんもなんとなくわかると思います。

これらに対して、「言葉」はどうでしょう?

言葉は、もっと身近な存在ですよね。

ただし言葉は、最果タヒもいうように、情報を伝える方法としての側面が強調されすぎていて、ツール化しています。

しかし言葉は、自分の思っていることや表現したいこと、訴えかけたいことを、世の中に表現できます。

まさに、言葉は想像以上に自由で、不自由な人のためにある、のです。

最果タヒは、『死んでしまう系のぼくらに』を通じて、牢屋に閉じ込められている言葉を外へ連れ出そうとしたのではないでしょうか?

これが作品の評価につながっている気がしてなりません。

ーsponsoredー

『死んでしまう系のぼくらに』はこんな人におすすめ!

学校や会社に上手く馴染めない⋯。自分は異常なのか?

表現したいことはあるけど、歌も絵も下手だし⋯どうすればいいんだろう?

最果タヒの鋭い感性に触れて、自分のもやもやした気持ちにけりをつけたい。

⇒全詩集おすすめランキングはこちら

あとがき:死んでしまう系のぼくらに

『死んでしまう系のぼくらに』の感想と解釈をお届けしました!どうだったかな?

うん。第一詩集『グッドモーニング』と第二詩集『空が分裂する』よりも、洗練された印象。

うんうん。でも、初期の作品も刺々しくていいんだよね〜!では、最後までありがとうございました!

関連記事
【おすすめ詩集】詩人「最果タヒ」とは何者か?【ランキング】

詩人「最果タヒ」。近頃、この名前を耳にする機会も増えたのではないでしょうか?「サブカル界隈で有名らしい」とは知りつつも、彼女の正体・作風については、未だ謎⋯。本記事では、最果タヒの詩の作風に迫るとともに、「全詩集おすすめランキング」を紹介します。

続きを見る

—sponsored—

【Pick Up】

1

大学の図書館で働く天然系女子「麦本三歩」。職場の3人の先輩を「優しい先輩」「怖い先輩」「おかしい先輩」と脳内で呼んでいて、和気藹々と働いている。ぼけーっとしている三歩は、何も考えずに生きているようにみえる。しかし実際には、人並み以上に気持ちに対して繊細だったりする。そんな愛らしく憎めない三歩の、のほほんとした日常を大切に紡いだ作品。

Copyright© 積ん読と感想わ , 2020 All Rights Reserved.