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土の中の子供/中村文則_過去のトラウマと闘う覚悟はありますか?

主人公の男は、幼い頃に親に捨てられた。里子に出された先に待っていたのは圧倒的暴力。大人になると、タクシードライバーとなり、恋人・白湯子(さゆこ)とともに刹那的に生活をともにする。男の幼少期の記憶には、深い森の中で土に埋められた経験が色濃くトラウマとして残ります。不安定な精神のもと、彼は希望を見つけることができるのかーー。

何もかも憂鬱な夜に/中村文則_心の深い闇はどこからくるのか?

施設で育った刑務官の「僕」は、20歳の死刑囚・山井を担当する。「僕」は学生時代から、自殺した親友・真下と同じく混沌とした自身の内面に苦しむ。大切な恩師のように、希望を与えられる人になりたい。その一方、山井にシンパシーを感じる「僕」。この憂鬱に答えはあるのだろうか?

黄色い目の魚/佐藤多佳子_安全圏から出て、自分を変えよう

村田みのりと木島悟は、高校の同級生です。村田は、イラストレーターの叔父・通ちゃん、だけに心を許しています。木島は、絵を描くのが上手な、サッカー部員です。彼は、絵描きで他界した父親・テッセイに、一度だけ会ったことがあります。二人は、美術の授業で、ペアになったことをきっかけに、互いを意識するようになります。村田を描きたい木島と、木島の絵がみたい村田。この関係は、友情?それとも恋愛?思春期の微妙な心の揺れと成長を描いた傑作です。

■ 【書評】『虹色と幸運』(柴崎友香)_ちゃんとした大人になれてるのかな?

「どうするかなー、今後の人生」イラストレーターの珠子、大学職員のかおり、雑貨店を始めた夏美。30代になった三人の日常(仕事・恋愛・家族)をありのままに描いた作品です。日常の細部が、かけがえなのない瞬間の連続だと気づかされます。

【書評】 『次の町まで、きみはどんな歌をうたうの?』(柴崎友香)_大切なことは日常に潜んでいる

『次の町まで、きみはどんな歌をうたうの?』(柴崎友香/河出文庫) の読書感想文です。せつなくユーモラスな作品です。あらすじと感想・考察(ややネタバレ)を書きます。

■ 【書評】『ドリーマーズ』(柴崎友香)_現実と夢想の境界が曖昧になる短編集

「現実」と「夢」がない交ぜになる世界を描いた連作短編集。「ハイポジション」、「クラップ・ユア・ハンズ!」、「夢見がち」、「束の間」、「寝ても覚めても」、「ドリーマーズ」の6編から成っています。

天使は奇跡を希う/七月隆文_ある日突然、天使がやってきたら?

瀬戸内海にほど近い町、今治の高校に転校してきた優花は天使です。 いや、そういう比喩ではなく、本当に天使なのです。 背中からは大きな翼が生えています。 ただ、その翼を見ることができたのは、幼馴染グループの良史、成美、健吾の3人だけです。なぜ、この3人には翼を見ることができたのか? という疑問は残りますが、彼らは優花の「天国に帰りたい」という願いを叶えるために、様々な場所を訪れます。 しかし、優花が天国に帰る方法は依然としてわかりません。 時間はいたずらに過ぎていきます。そして、読者はやがて、優花の「嘘」を知ることになるのです。 ここから、物語は急展開を迎えます。

ビリジアン/柴崎友香_「かっこいい」ってなんだろう?

主人公は山田解(かい)です。『ビリジアン』は連作短編(20編)。 物語は、解の10歳から19歳の記憶を断片的に行ったり来たりする形で綴られています。 舞台は大阪、京都。 特にこれといったストーリーは存在せず、日常の些細な出来事に関する記憶を描写しています。 それぞれのエピソードの中に、描かれている年代や解のプロフィールに関するヒントが散りばめられており、読者はそれらを結び合わせることで、一つの文脈が浮き上がってきます。

■ 【書評】『渦森今日子は宇宙に期待しない。』(最果タヒ)が伝える非日常的平凡世界

渦森今日子17歳、アイスが好きな女子高生。 一見どこにでもいそうな感じだが、実は彼女は宇宙人である。 あ、でも、侵略にきたとかではない。 弱小サークル宇宙探偵部のメンバーは、今日子が宇宙人であることを知っている。 しかし、誰一人気にしていないという不思議な状況。 今日子は、大好きな友達(岬ちゃん、柚子ちゃん)と一緒に、部活動、体育祭、夏合宿と青春を謳歌する。 ただ、そんな今日子も将来に対して不安を感じている。 この不安は、女子高生だから? それとも宇宙人だから? ゆみゆめかわゆい青春小説。

■ 【書評】『紫のアリス』(柴田よしき)_迷宮のようなあやふやな物語

会社を辞めた紗季が、夜の公園で見たのは、変死体と「不思議の国のアリス」のウサギ。 その日を境に、紗季のまわりでは、次々と不思議な事件が起きる。 古びたマンションに引っ越した紗季は、世話好きな老人・菊子と仲良くなる。 事件解決のため、奔走する二人だが、なかなか全貌を掴むことができない。 紗季は次第に自分の正気を疑うと同時に、記憶の違和感を感じ始める。 不思議の迷宮に彷徨いこんだ紗季に訪れる衝撃の結末とはーー?

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