芥川賞

純文学

■【書評】『土の中の子供』(中村文則)_過去のトラウマと闘う覚悟はありますか?

主人公の男は、幼い頃に親に捨てられた。里子に出された先に待っていたのは圧倒的暴力。大人になると、タクシードライバーとなり、恋人・白湯子(さゆこ)とともに刹那的に生活をともにする。男の幼少期の記憶には、深い森の中で土に埋められた経験が色濃くトラウマとして残ります。不安定な精神のもと、彼は希望を見つけることができるのかーー。

純文学

● 【書評】『春の庭』(柴崎友香)_「箱 × 中身 = 文脈(コンテクスト)」の世界

『春の庭』 柴崎友香 2017年4月 文春文庫より 第151回芥川賞受賞作. 柴崎さんの著書の中でも難解な部類に入るお話だと思います。 相変わらず描写力は素晴らしいです。 あらすじと感想を描きます。

純文学

■ 【書評】『蛇にピアス』(金原ひとみ)で舌にあけた穴を覗き込んだら空虚

「スプリットタンって知ってる?」これがルイとアマの出会いでした。ひと目でそれを気に入ったルイは、シバの店を訪れます。アマと同棲しながら、シバとも関係を持つルイは、舌にピアスをいれ、刺青を彫り、「身体改造」にはまっていきます。若者が持つ鋭い感性と荒々しい暴力の世界を描いた衝撃作。

純文学

●【書評】『コンビニ人間』(村田沙耶香)にみる社会の均質性と想像力の欠如

コンビニアルバイト古倉恵子。36歳、未婚、彼氏歴なし。感情を持たない彼女は、マニュアル通りに指示されたことをこなし、まわりと齟齬がないように振る舞う。しかし、就職も結婚もしない彼女を、家族や友人たちは異常だと考えていた。そんな彼女の元に現れるのが、婚活目的でバイトに入った新人・白羽であった。彼は、現代社会や古倉恵子の生き方を稚拙な論理で詰るがーー。

純文学

■ [書評]『ひとり日和』(青山七恵)一人前になろうともがく思春期の葛藤と成長

世界に外も中もないのよ。この世は一つしかないでしょ。二十歳の知寿が居候することになったのは、二匹の猫が住む、七十一歳・吟子さんの家。駅のホームが見える小さな平屋で共同生活を始めた知寿は、キオスクで働き、恋をし、時には吟子さんの恋にあてられ、少しずつ成長していく。

純文学

●【書評】芥川賞受賞作『乳と卵』(川上未映子)_天才はやはり天才だった

娘の緑子を連れて大阪から上京してきた姉でホステスの巻子。巻子は豊胸手術を受けることに取り憑かれている。緑子は言葉を発することを拒否し、ノートに言葉を書き連ねる。夏の三日間に展開される哀切なドラマは、身体と言葉の狂おしい交錯としての表現を極める。日本文学の風景を一夜にして変えてしまった。

純文学

★【書評】『限りなく透明に近いブルー』(村上龍)_白い起伏と黒い鳥

舞台は東京、基地の町、福生。ここにあるアパートの一室、通称ハウスで主人公リュウや複数の男女がクスリ、LSD、セックス、暴力、兵士との交流などに明け暮れ生活している。明日、何か変わったことがおこるわけでも、何かを探していたり、期待しているわけでもない。リュウは仲間達の行為を客観的に見続け、彼らはハウスを中心にただただ荒廃していく。そしていつの間にかハウスからは仲間達は去っていき、リュウの目にはいつか見た幻覚が鳥として見えた。

Copyright© 積ん読と感想わ , 2020 All Rights Reserved.