詩歌

【詩集】天国と、とてつもない暇/最果タヒ_ひとは、誰かの救いになる必要なんてない【解釈】

2020年2月10日

詩人・最果タヒの第六詩集『天国と、とてつもない暇』の感想と解釈です!

表紙が現代アートみたいで面白いね!すごく抽象的⋯⋯。

そうだね!今までの詩集と比べても、デザインは一番凝ってるかも。

ーsponsoredー

『天国と、とてつもない暇』心に残った5つの詩

『天国と、とてつもない暇』を読んで、いいなぁと思った詩をご紹介します!

冬の濃霧

きみはかくじつに誰かに愛されるし、かくじつに一人ではないし、
それでも孤独があるという花畑なんだ、ここは

引用p10より

インターネットが発達して、テクノロジーが進歩して、ソーシャルメディアが生まれましたね。

つながろうと思えば、いつでも誰かとつながれる、世界。

それを聞くと、素晴らしい時代になったもんだと思う人もいるかもしれません。

でも、Facebookでリア充の写真を見て凹んだり、
Instagramのフォロワーが伸びなくて虚しくなったり、
Twitterでいいねもリツイートもされなくて、寂しかったり。

つまり、これは孤独に似ていませんか?

でも、若者は貧しくて、
結婚ができない・子供を産めない、
と、いいますが。

結局、ほとんどの人は家庭を持ち、
愛され愛するでしょう。

複雑な社会で盲目にならないことは難しいですね。

ハサミの詩

なかよしになりたかったね、
誰かが誰かを殺すのは、
しかたあがないけれど私はみんなとなかよしになりたかったね。

引用p29より

いつからだろう、
多分、小学校高学年ころかな。

強者弱者ができた。
いじめ。

最果タヒがうたうように、
僕は、みんなとなかよしになりたかったな。

だから、いじめられている子に積極的に話しかけて、
まさか、自分がいじめられるとは思わなかった。

ちょっとの間、不登校になりました。
親には、風邪をひいているといってましたが、
嘘です

大人になっても、
何も変わらないよね。

うん、みんな、なかよしでいいのに。

雲の詩

言葉、言葉があるからわたしは、いま、生きる人だけを見つめます。
言葉、言葉があるからわたしは、死んだ人から死を、切り離せない。
地平線は境界線、あなたと、わたしだけが暮らせる一瞬の、黒。

引用p42より

最果タヒの「言葉」に対する思い入れの強さは、勇気をもらえる。

僕も、ライターという職に就いて、言葉の力を信じている。

第三詩集の『死んでしまう系のぼくらに』のあとがきに、こんなことが書かれていた。

言葉は想像以上に自由で、不自由な人のためにある

絵も歌も下手な不自由な僕に、表現という力を与えてくれたのは、言葉でした。

今日も、活字に埋もれながら、幸せに生きています。

関連記事
●【詩集】『死んでしまう系のぼくらに』(最果タヒ)_言葉は想像以上に自由で、不自由な人のためにある【解釈】

【詩集】『死んでしまう系のぼくらに』(最果タヒ)_言葉は想像以上に自由で、不自由な人のためにある【解釈】ー 詩人・最果タヒの第三詩集である『死んでしまう系の僕らに』の感想と解釈をお届けします。最果タヒに興味がある人は必見です。

続きを見る

重力の詩

まずしさは、こころのまずしさは、誰かを傷つけた回数ではなくて、きみがきみを諦めた回数で決まる。

引用p46より

「大人になるって、諦めるってことだよね」

よく聞く言葉です。

僕はもうすぐ30なので、「コイツ大人になったな」という瞬間は何度もみています。

それが、こころのまずしさ、であるかどうかはわかりません。

ただ、学生の頃の朝まで飲んで、帰りみち朝日を横目に一服するような
そんな雰囲気が消え去る感覚があります。

ちなみに僕は、大人になりきれてません(泣)

この詩を読んで、なんとなく浅野いにお作・ソラニンが頭に浮かびました。

おやすみ

どうか、きみが消えても、すてきな世界でありますように。
愛するたび、きみがいなくてもよかったんだと口走るよ。
ひとは、誰かの救いになる必要なんてない。

引用p55より

人が人を知ることも、救うことも、できないんじゃないかと思います。

失恋すると世界の終わりだけど、
新しい春の予感を感じると、
性懲りもなくそわそわしてしまうのは、
嬉しくもあり、寂しくもあります

人は人を支えることはできます。
でも立ち続けることができるのは、
ひとりの力です。
それでいいと思いました。

『天国と、とてつもない暇』の解釈

『天国と、とてつもない暇』は、最果タヒの詩集三部作と呼ばれる作品群の後に書かれた詩集です。

※リンクを押すとレビュー記事にとびます

詩集三部作はどれも、最果タヒの優しさが滲み出るような印象を受けました。

これに対して、『天国と、とてつもない暇』を読んで思ったのは、最果タヒの「覚悟」と「意志」でした。

最果タヒにとって、『天国と、とてつもない暇』は、詩人として次のステップに進むための作品だったのではないでしょうか。

具体的には、詩とデザインの融合が考えられます。

両者を組み合わせることで、「詩集」というジャンルを飛び出して「アート」の世界に足を踏み入れようとしているのでは。

つまり、これからの最果タヒは、詩(言葉)と○○を組み合わせた作品を作るアーティストよりになる気がします。

この試みは非常に面白く、今後の活動に注目したいですね。

ーsponsoredー

『天国と、とてつもない暇』はこんな人におすすめ!

最果タヒの詩人としての「意志」と「覚悟」を感じてみたい⋯。

詩集三部作から作風がどのように変化したかを読み解きたい⋯。

記事に書かれていた「詩」に直感でいいなと思い、もっと他の詩も読みたい。

⇒全詩集おすすめランキングはこちら

あとがき:天国と、とてつもない暇

最果タヒの第六詩集『天国と、とてつもない暇』の感想と解釈でした。

今までの詩と比べて、ひとつひとつの言葉の重みが増していると感じました。

確実に、カリスマ詩人は進化を続けています。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

関連記事
【おすすめ詩集】詩人「最果タヒ」とは何者か?【ランキング】

詩人「最果タヒ」。近頃、この名前を耳にする機会も増えたのではないでしょうか?「サブカル界隈で有名らしい」とは知りつつも、彼女の正体・作風については、未だ謎⋯。本記事では、最果タヒの詩の作風に迫るとともに、「全詩集おすすめランキング」を紹介します。

続きを見る

—sponsored—

【Pick Up】

1

大学の図書館で働く天然系女子「麦本三歩」。職場の3人の先輩を「優しい先輩」「怖い先輩」「おかしい先輩」と脳内で呼んでいて、和気藹々と働いている。ぼけーっとしている三歩は、何も考えずに生きているようにみえる。しかし実際には、人並み以上に気持ちに対して繊細だったりする。そんな愛らしく憎めない三歩の、のほほんとした日常を大切に紡いだ作品。

Copyright© 積ん読と感想わ , 2020 All Rights Reserved.