松山剛

● 『タイムカプセル浪漫紀行』

投稿日:2017年6月25日 更新日:

はじめに

『タイムカプセル浪漫紀行』 松山剛 メディアワークス文庫より. 読後感がとてもスッキリしている作品。 肋兵器さんによるイラストも素敵ですね。 あらすじと感想を書きます。

タイムカプセル浪漫紀行

読書時間の目安

3時間2分

あらすじと感想

以下、多少のネタバレありです。未読の方はご注意を。

 考古学者を目指し都内の大学に通っていた英一でしたが、尊敬する考古学者でもある父の「遺跡捏造事件」を受けて、考古学者になる夢を諦めてしまいます。 大学に退学届けを提出して、失意の日々を過ごしていた英一。そんなある日、10年前の10歳の時に他界した幼馴染の少女・明日香が現れます

 はじめは、幽霊か幻影じゃないかと彼女の存在が信じられない英一ですが、他の人からも見えることや物理的に接触することも可能なことから、明日香が蘇ったという結論に達します。そんな明日香が英一に言います。

「探しに行こうよ、タイムカプセル!」

 明日香の言うタイムカプセルとは、彼らが7歳の時にどこかで埋めて、大人になったら掘り出そうと約束していたものでした。 父の事件のこともあり、あまり地元に帰りたくない英一を明日香は連れ出します。 そして、秘密基地にしていた「研究所」から「たからのちず」と書かれた紙を発見します。

「たからのちず」には、大まかな場所しか記されていなかったため、なかなかタイムカプセルまでたどり着けません。 そんな時、かつての親友である「猿やん」と「熊ゴン」と再会します。 英一は、事件によって、街全体のイメージが悪くなったことに責任を感じていて、その地で働いている二人に気まずさを感じていました。 しかし、会ってみると、二人とも昔と同じようにフランクに接してくれ、タイムカプセル探しにも協力してもらえることになりました。

 「たからのちず」に示された「×印」が、明日香の絵でいうところの「星」だと気づいた英一は、恩師である星野先生宅を訪れます。 彼は、父と共同で研究をしていたことから、多大な迷惑をかけたと想像していた英一は、ここでもやはり負い目を感じていましたが、いざ会ってみると、そんなことはつゆほども思っておらず、むしろ大歓迎されました。 これは、英一にとって予想外の反応であり、親友たちの時と同様、心に暖かいものを感じました

 星野先生から新たな紙片を受け取った英一と明日香は、そこに記されている「探検ルート」のゴール地である鍾乳洞を目指します。 しかし、これで、やっと、タイムカプセルを見つけることができると思った英一に、予想外の出来事が起こります。 これは、ぜひ作品を読んで、知ってほしいと思います。

 明日香との再会は、英一にとって、大切なことを再認識させました。 それは、旧友や恩師との「絆」の深さであり、一度は諦めかけた幼少からの「夢」です。 そういった意味で、なぜ彼女が英一の前に姿を現したのかは、わかるような気がしますね。 ずっと父を尊敬して真摯に夢に向かって努力していた英一だからこそ、明日香は沈み込んでいる英一の姿をみたくなかったのでしょう。 励まそうと思ってくれたんだと思います。

 僕も昔やらかしちゃって、それが気まずくて、顔を合わせることができないという友人がたくさんいます。 彼らに会うことができないのは、自責の念があるからですが、結局、勇気がでないからなんだと思います。 この作品を読んでいて、自分のほうは、気まずく思っていても、相手のほうは、必ずしも、そう感じてはいないこともあるんだなと、強く思いました。 むしろ、相手がずっと責めていると感じることは、彼らの度量に対して敬意をはらっていない、過小評価しているようにも思えます。 ちょっと勇気を出して、自分から連絡をとってみようかなと思いました。

 夢を追いかけることの大切さも、この話を読んでいて、感銘を受けました。 僕の幼少からの夢というと、天文学者、獣医、公認会計士などなど…いっぱいありましたが、どれも今からやるには遅過ぎますし、やろうとも思えません。 今の僕の夢は、好きなことで生活することと世界一周です。 これらを叶えるために、日々努力していきたいと思っています。 この作品は、そんな僕の背中を優しく後押ししてくれるものでした。 もっと、頑張ろうと思います!

 まあ、まとめると、なんでも一人よがりになるのは、よくないですね。 「絆」も「夢」も、自分だけで判断できることじゃないと思います。 ネガティブに考えてしまう時こそ、周りに相談してみたり、頼ったりすることが、重要なんじゃないかと思いました。

こんな方におすすめ

  • 考古学に興味がある人
  • 絆や夢について考えてみたい人
  • 不思議な巡り合わせを信じている人

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あとがき

 テーマがはっきりしている本は好きです。 今回は「絆」や「夢」がテーマでした。 それを表現するための構成も良かったと思うので、評価は●(4 point)にしました。 読みやすい本なので、おすすめですよ^^

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