日常・青春・恋愛

うつくしい人/西加奈子_眩しすぎて目を背けたくなる光がある

モロケン

未経験からフリーライターとして独立、起業。日給500円から始めて今では1記事5万円も珍しくない。いつまでも純粋さを大切にしたい。

モロケン
『うつくしい人』(西加奈子)の読書感想文です!

西さんがプライベートでツラいときに書かれた本なんだってね
サブカル

モロケン
うん。実際に彼女が旅行で訪れた離島をモデルに書いたみたい。

当時の西さんも主人公・百合のように鬱々とした気分を抱えていたんだね
文学青年

モロケン
そうだね〜。じゃあ、作品について見ていこうか!

うつくしい人の感想を動画にしました

うつくしい人-あらすじ

自分を見つめる「もうひとつの眼」の不在は、人間に思わぬことをさせるものだと、姉を見ながら自分をずっと戒めてきた。自分はどう見られているのか・どんな存在であるのか。こう行動したらどうなるか、そんなことばかり考えて、生きてきた。

主人公・蒔田百合は、純真さ故に苛められ引きこもりになった姉のようになるまいと、他人にどう思われるかを常に考えそつなく振る舞う生き方を選んだ。

しかしある日、会社でのちょっとしたミスで人の前で泣かないと誓ったはずの涙が溢れ、会社を退職する。

自分のアイデンティティを見失った百合は、茫然自失なまま、とある離島に一人旅に出ることに。

旅先でも精神不安定な自分に嫌気がさしていた百合だが、ドイツ人の美しい青年・マティアスとホテルの冴えないバーテンダー・坂崎と出会い、徐々に自分の輪郭を取り戻していく。

暗いトンネルから見えた一筋の光明を巧みな描写で表現した傑作。

うつくしい人-ここがおすすめ

  • 百合の心理描写がリアル。現代人が抱えがちな他人の眼の恐怖を見事に表現している
  • 作品を読むとわかるが「うつくしい人」というテーマが秀逸。背筋が伸びる。
  • 西さんの作品らしく最後はほのかな希望を感じさせる。あたたかい気持ちになる。

あなたにとって「うつくしい人」がいるように、誰かにとってあなたが「うつくしい人」かもしれない

うつくしい人-感想・書評

モロケン
『うつくしい人』の感想文を書きます。ネタバレが嫌だよって人はコチラまで、進んでね!

世の中から一度、離れてみることの大切さ

僕たちが生きている社会は少し異常です。

『うつくしい人』の単行本が刊行されたのは2009年です。

当時はSNSがぜんぜん普及してなかった。

それでも他人からの眼はいつも僕らを見ているのでした。

今や自粛警察がパトロールをしている時代。

こんな世の中なら、ずっと子供のままでいたかった。

だから、自分らしさを保つためには、どこか遠くに行く必要があります。

旅先で百合が自分を再発見したように、荷物をまとめて出かけましょう。

狂った世界に順応してはダメです。

あなたの心はあなたが守る必要があります。

純真とはどうしてこう美しいのか

彼女はもう、昔のようには笑えないだろう。私が憧れた、あの笑顔を見せることは、ないだろう。

この文を見たときやるせなくて苦しくなりました。

純真さをどうしてみんな攻撃するのか。

僕が小さい頃もいつも絵を描いている無口な女の子がいました。

彼女に対して同級生がとった行動に僕は当時、閉口しました。

みんな上野の美術館にフェルメールを観に行くのに、どうして自分の身近に美しいものがあると壊したいんだろう

無理して生きなくていい

何十年分かの涙を、私の体が流している。ごめんなさいごめんなさい、ごめんなさい、苦しかった、閉じ込められて、苦しかった、ひどいひどいひどい、哀しい、寂しい、寂しい、苦しい早く早く早く早くおねえちゃん、おねえちゃん。

百合は、おねえちゃんが大好きだったんですね。

でも、恐怖に身がすくんでむしろ拒絶してしまった

そのことに百合が気づいて、本当に良かったと思います。

うちの兄も引きこもりですが、ときどき叫ぶことを除いて、僕は兄が嫌いじゃありません。

僕は、双極性障害で、人間関係をズタズタにして生きてきたから、一番付き合いが長いのは兄です。

できることがあるなら、後押ししたいと思っています。

『うつくしい人』はこんな人におすすめ!

  • 本当の自分を見せたらまわりに嫌われると怯えている
  • 読み終わった後にすがすがしくなるような本を読みたい
  • 自分らしさを追い求めていたらいつしか一人になっていた
モロケン
繊細で傷つきやすい人に響く本だと思う!

あとがき:うつくしい人

モロケン
『うつくしい人』(西加奈子)の読書感想文でした!

けっこう今回はエモかったね(笑)
パリピ

モロケン
うん、すごく感動したから…。いや、好きだな〜

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モロケン

未経験からフリーライターとして独立、起業。日給500円から始めて今では1記事5万円も珍しくない。いつまでも純粋さを大切にしたい。