




うつくしい人の感想を動画にしました
うつくしい人-あらすじ
主人公・蒔田百合は、純真さ故に苛められ引きこもりになった姉のようになるまいと、他人にどう思われるかを常に考えそつなく振る舞う生き方を選んだ。
しかしある日、会社でのちょっとしたミスで人の前で泣かないと誓ったはずの涙が溢れ、会社を退職する。
自分のアイデンティティを見失った百合は、茫然自失なまま、とある離島に一人旅に出ることに。
旅先でも精神不安定な自分に嫌気がさしていた百合だが、ドイツ人の美しい青年・マティアスとホテルの冴えないバーテンダー・坂崎と出会い、徐々に自分の輪郭を取り戻していく。
暗いトンネルから見えた一筋の光明を巧みな描写で表現した傑作。
うつくしい人-ここがおすすめ
- 百合の心理描写がリアル。現代人が抱えがちな他人の眼の恐怖を見事に表現している
- 作品を読むとわかるが「うつくしい人」というテーマが秀逸。背筋が伸びる。
- 西さんの作品らしく最後はほのかな希望を感じさせる。あたたかい気持ちになる。
あなたにとって「うつくしい人」がいるように、誰かにとってあなたが「うつくしい人」かもしれない
うつくしい人-感想・書評

世の中から一度、離れてみることの大切さ
僕たちが生きている社会は少し異常です。
『うつくしい人』の単行本が刊行されたのは2009年です。
当時はSNSがぜんぜん普及してなかった。
それでも他人からの眼はいつも僕らを見ているのでした。
今や自粛警察がパトロールをしている時代。
こんな世の中なら、ずっと子供のままでいたかった。
だから、自分らしさを保つためには、どこか遠くに行く必要があります。
旅先で百合が自分を再発見したように、荷物をまとめて出かけましょう。
狂った世界に順応してはダメです。
あなたの心はあなたが守る必要があります。
純真とはどうしてこう美しいのか
この文を見たときやるせなくて苦しくなりました。
純真さをどうしてみんな攻撃するのか。
僕が小さい頃もいつも絵を描いている無口な女の子がいました。
彼女に対して同級生がとった行動に僕は当時、閉口しました。
みんな上野の美術館にフェルメールを観に行くのに、どうして自分の身近に美しいものがあると壊したいんだろう。
無理して生きなくていい
百合は、おねえちゃんが大好きだったんですね。
でも、恐怖に身がすくんでむしろ拒絶してしまった。
そのことに百合が気づいて、本当に良かったと思います。
うちの兄も引きこもりですが、ときどき叫ぶことを除いて、僕は兄が嫌いじゃありません。
僕は、双極性障害で、人間関係をズタズタにして生きてきたから、一番付き合いが長いのは兄です。
できることがあるなら、後押ししたいと思っています。
『うつくしい人』はこんな人におすすめ!
- 本当の自分を見せたらまわりに嫌われると怯えている
- 読み終わった後にすがすがしくなるような本を読みたい
- 自分らしさを追い求めていたらいつしか一人になっていた

あとがき:うつくしい人


