『勝手にふるえてろ』(綿矢りさ/文春文庫)の読書感想文です。タイトルにパンチが効いていますね。芥川賞作家・綿矢りさは、言語化しにくいもやもやとした感情を上手に文章に落とし込む技術が素晴らしいです。『勝手にふるえてろ』では、彼女のセンスが鋭く光っています。あらすじと感想・考察(ほぼネタバレなし)を書きます。
『勝手にふるえてろ』(綿矢りさ)のあらすじ
あらすじ
『勝手にふるえてろ』の感想と考察(ほぼネタバレなし)
「勝手にふるえてろ」のテーマは、「理想と現実どちらを選ぶか」というものです。
理想と現実を象徴するような人物として、「イチ」と「ニ」が描かれています。
結果的にヨシカは、「現実」を選び、それが成長だと読み取れます。
もういい、想っている私に美がある。
イチはしょせん、ヒトだもの。
しょせん、ほ乳類だもの。
私の中で十二年間育ちつづけた愛こそが美しい。
イチなんか、勝手にふるえてろ。
個人的には、「理想を求めること」あるいは「子供のままでいること」は、決して悪くないと思います。
私は、現実に適応して大人の仲間入りをするなら、理想を求めて子供のままでいい、と思ってしまいます。
小さい頃にみた憧憬は、きっと世界のカタチだと信じているからです。
「理想」と「現実」のどちらを選ぶかに優劣はないでしょう。
一人一人の価値観に選択を委ねるのが一番だと思います。
『勝手にふるえてろ』はこんな人におすすめ!



あとがき:『勝手にふるえてろ』
『勝手にふるえてろ』(綿矢りさ/文春文庫)の読書感想文でした。
綿矢りさの言葉のセンスが好きです。
年代が近いこともあって、共感できることが多いんですよね。
スランプもあったようですが、乗り越えられたみたいで一安心です。
これからも新しい作品を楽しみに待ちます。